2019年が3連単449万7470円、2020年が3連単21万7720円と、ここ2年の高松宮記念はいずれも高額配当決着になった。過去10年の高松宮記念において単勝1番人気の支持を集めた馬のうち、連対を果たしたのは2013年1着のロードカナロアと2016年1着のビッグアーサーのみである。前評判の高い馬はもちろん、大仕事をやってのけそうな伏兵馬にも注目しておきたい一戦だ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中28頭は、“前年以降に4大場(東京・中山・京都・阪神)で行われた芝の重賞”において2着以内に入った経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率2.7%と苦戦している。ちなみに、2015年1着のエアロヴェロシティは香港からの遠征馬で、JRAのレースに出走した経験がなかったものの、2014年の香港スプリント(G1)を優勝した実績があった。2019年以前のレース、ローカル場(札幌・函館・福島・新潟・中京・小倉)のレース、ダートのレース、オープン特別や条件クラスのレースでしか連対を果たしていない馬は、評価を下げるべきだろう。〔表1〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-10-9-76 | 8.7% | 18.3% | 26.9% |
なし | 1-0-1-71 | 1.4% | 1.4% | 2.7% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中26頭は、前走の着順が5着以内だった。一方、6着以下だった馬は3着内率5.4%と苦戦している。前走好走馬が強いレースといえそうだ。〔表2〕
前走の着順 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
5着以内 | 9-9-8-77 | 8.7% | 17.5% | 25.2% |
6着以下 | 1-1-2-70 | 1.4% | 2.7% | 5.4% |
なお、前走の着順が6着以下だった馬のうち、“今回と同じ競馬場(2011年は阪神、2012年以降は中京)の重賞”を優勝した経験のない馬は3着内率1.6%とより苦戦している。コース実績のある馬でない限り、前走6着以下の馬は過信禁物とみておきたい。〔表3〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-1-1-7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
なし | 0-0-1-63 | 0% | 0% | 1.6% |
前走が“国内のレース”だった馬について、前走の単勝人気別成績を見ると、1番人気だった馬が3着内率38.7%と優秀な成績を収めている。一方、5番人気以下だった馬は3着内率5.7%と苦戦している。臨戦過程を比較する際は、直近のレースにおける単勝人気も重視すべきだろう。〔表4〕
前走の単勝人気 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 4-5-3-19 | 12.9% | 29.0% | 38.7% |
2番人気〜4番人気 | 5-2-4-40 | 9.8% | 13.7% | 21.6% |
5番人気以下 | 0-3-2-83 | 0% | 3.4% | 5.7% |
計 | 9-10-9-142 | 5.3% | 11.2% | 16.5% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中27頭は、年齢が6歳以下だった。一方、7歳以上だった馬は3着内率5.7%と苦戦している。なお、中京競馬場で行われた2012年以降の過去9年に限ると〔1・0・0・45〕(3着内率2.2%)、2016年以降の過去5年に限ると〔0・0・0・28〕(3着内率0%)である。7歳以上の馬は割り引きが必要だ。〔表5〕
年齢 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6歳以下 | 8-10-9-97 | 6.5% | 14.5% | 21.8% |
7歳以上 | 2-0-1-50 | 3.8% | 3.8% | 5.7% |
過去5年の3着以内馬延べ15頭中13頭は、枠番が「1枠から4枠」だった。一方、「5枠から8枠」だった馬は3着内率4.0%と苦戦している。1枠の馬は〔0・0・0・10〕(3着内率0%)だったものの、どちらかといえば近年は内枠優勢とみておきたい。〔表6〕
枠番 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1枠〜4枠 | 3-5-5-27 | 7.5% | 20.0% | 32.5% |
5枠〜8枠 | 2-0-0-48 | 4.0% | 4.0% | 4.0% |
なお、枠番が「5枠から8枠」だったにもかかわらず3着以内に入った2頭は、いずれも前走の4コーナーの通過順が2番手以内、かつ前走の出走頭数が18頭だった。前走が多頭数で先行していた馬なら、外寄りの枠でも相応に高く評価すべきだろう。〔表7〕
前走の4コーナー通過順ならびに出走頭数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
2番手以内、かつ出走頭数が18頭 | 2-0-0-4 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
3番手以下、もしくは出走頭数が17頭以下 | 0-0-0-43 | 0% | 0% | 0% |
計 | 2-0-0-47 | 4.1% | 4.1% | 4.1% |
過去5年の優勝馬5頭は、いずれも前走の馬体重が480キログラム以上だった。なお、前走が“JRAのレース”、かつ前走の馬体重が480キログラム未満だった馬で優勝を果たしたのは、現在のところ2009年のローレルゲレイロが最後である。馬体重の重い馬を重視した方がよさそうだ。また、この5頭は、“前年以降に4大場(東京・中山・京都・阪神)で行われた芝の重賞”において連対経験があった点、前走の単勝人気が4番人気以内だった点も共通している。〔表1〕〔表4〕などで挙げた傾向も考慮したい。〔表8〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 前走の馬体重 | “前年以降に4大場(東京・中山・京都・阪神)で行われた芝の重賞”における最高着順 | 前走の単勝人気 |
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2016年 | ビッグアーサー | 524kg | 2着(2015年京阪杯) | 1番人気 |
2017年 | セイウンコウセイ | 500kg | 2着(2017年シルクロードS) | 4番人気 |
2018年 | ファインニードル | 488kg | 1着(2018年シルクロードSほか) | 4番人気 |
2019年 | ミスターメロディ | 496kg | 2着(2018年阪神C) | 1番人気 |
2020年 | モズスーパーフレア | 494kg | 1着(2019年オーシャンS) | 2番人気 |
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