1936年に創設された80年以上の歴史を持つ重賞。春の中山の名物重賞として定着しており、すでにGⅠ戦線で実績を残している有力馬の始動戦となることが多い一戦だ。今回も過去10年のデータから傾向を探ってみた。
過去10年の単勝人気別成績では、1番人気が3勝、2番人気が3勝、3番人気も3勝と、3番人気以内の馬が9勝を挙げている。3着内率を見ると、1番人気が30.0%にとどまっているのに対し、2番人気から4番人気が50%以上となっている。また、6番人気以下になると3着内率は大きく下がり、その中でも単勝オッズ50倍以上の馬が馬券に絡んだことは過去10年間で一度もない。有力馬が集まり少頭数になることが多いため、上位拮抗になりやすく、大波乱の余地は少ないようだ。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 3-0-0-7 | 30.0% | 30.0% | 30.0% |
2番人気 | 3-2-2-3 | 30.0% | 50.0% | 70.0% |
3番人気 | 3-1-2-4 | 30.0% | 40.0% | 60.0% |
4番人気 | 0-3-2-5 | 0% | 30.0% | 50.0% |
5番人気 | 1-1-0-8 | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
6番人気以下 | 0-3-4-59 | 0% | 4.5% | 10.6% |
過去10年では4歳馬と5歳馬で計9勝を挙げている。3着内率を見ると4歳馬が高く、年齢が上がるにつれて低くなる傾向がある。重賞優勝経験のある4歳馬は〔5・3・5・10〕という成績で、3着内率は56.5%まで上昇する。3番人気以内に重賞タイトルを持つ4歳馬がいるようならば、軸馬に最適だろう。〔表2〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4歳 | 5-3-5-15 | 17.9% | 28.6% | 46.4% |
5歳 | 4-3-1-20 | 14.3% | 25.0% | 28.6% |
6歳 | 1-3-2-22 | 3.6% | 14.3% | 21.4% |
7歳 | 0-1-1-18 | 0% | 5.0% | 10.0% |
8歳 | 0-0-1-7 | 0% | 0% | 12.5% |
9歳以上 | 0-0-0-4 | 0% | 0% | 0% |
中山記念は前走でGⅠを使われていた馬が優位なレース。表中にある前走が海外レースだった馬も、全てG1である前年末の香港国際競走出走馬であった。また、前走GⅠ組は、そこで好走していた馬の信頼度が高いだけでなく、6着以下に敗れていた馬の巻き返しも多いので注意が必要だ。〔表3〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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GⅠ | 6-5-4-24 | 15.4% | 28.2% | 38.5% |
GⅡ | 0-0-3-16 | 0% | 0% | 15.8% |
GⅢ | 3-3-2-22 | 10.0% | 20.0% | 26.7% |
オープン特別 | 0-1-0-16 | 0% | 5.9% | 5.9% |
障害 | 0-0-0-2 | 0% | 0% | 0% |
海外のレース | 1-1-1-6 | 11.1% | 22.2% | 33.3% |
1週間前に京都牝馬S、2週後に中山牝馬Sがあるにもかかわらず、あえて牡馬とのレースを選び中山記念に出走してくる牝馬はやはり怖い。出走頭数は少ないものの、2015年にヌーヴォレコルトが優勝、2018年にアエロリットが2着、2019年と2020年は2年連続でラッキーライラックが2着と結果を残している。さらに、単勝オッズ10倍未満の牝馬に絞ると、その成績は〔1・3・0・3〕となり連対率は57.1%まで上昇する。牝馬が上位人気となった際には注目しておきたい。〔表4〕
性別 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
牡・せん | 9-7-9-80 | 8.6% | 15.2% | 23.8% |
牝 | 1-3-1-6 | 9.1% | 36.4% | 45.5% |
過去8年の優勝馬を振り返ると、2017年のネオリアリズムを除く7頭には3歳春のクラシック(皐月賞、ダービー、桜花賞、オークス)への出走経験があった。ちなみにここ2年は、3歳春のクラシック出走経験馬が1着から3着を独占している。これは勝ち馬選びだけでなく、相手選びの指標にもなりそうだ。〔表5〕
(姫園 淀仁)
年度 | 優勝馬 | 3歳春のクラシック成績 |
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2013年 | ナカヤマナイト | 皐月賞5着、日本ダービー4着 |
2014年 | ジャスタウェイ | 日本ダービー11着 |
2015年 | ヌーヴォレコルト | 桜花賞3着、オークス1着 |
2016年 | ドゥラメンテ | 皐月賞1着、日本ダービー1着 |
2017年 | ネオリアリズム | 不出走 |
2018年 | ウインブライト | 皐月賞8着、日本ダービー15着 |
2019年 | ウインブライト | 皐月賞8着、日本ダービー15着 |
2020年 | ダノンキングリー | 皐月賞3着、日本ダービー2着 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。