昨年の優勝馬クロノジェネシスが宝塚記念と有馬記念を制し、JRA賞特別賞を受賞したことは記憶に新しい。また、2015年の優勝馬ラブリーデイは同年の宝塚記念と天皇賞(秋)を勝ち、2016年、2017年と連覇を果たしたサトノクラウンは2016年の香港ヴァーズと2017年の宝塚記念を制するなど、近年の優勝馬はその年のGⅠ戦線で大活躍している。なお、今年は阪神競馬場の芝2200メートルで行われるため、過去10年の京都記念に加えて阪神・芝2200メートルの傾向も分析する。
過去10年の4コーナーの通過順別成績を見ると、優勝馬延べ10頭のうち9頭は4番手以内で通過していた。京都・芝2200メートルは直線の長い外回りコースを使用するが、4コーナーで前めの位置につけていた馬が好成績を挙げている点が特徴的だ。〔表1〕
4コーナーの通過順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4番手以内 | 9-5-7-31 | 17.3% | 26.9% | 40.4% |
5番手以下 | 1-5-3-50 | 1.7% | 10.2% | 15.3% |
では、今年使用する阪神競馬場・内回りの芝2200メートルにはどのような傾向があるのだろうか。今年は1回阪神の開幕週に行われることや、過去10年の京都記念は2016年を除いて出走頭数が9頭から12頭と少なめだったことも踏まえ、過去10年の1回阪神開催において8頭から13頭立てで行われた1勝クラスから上のクラスの芝2200メートル戦、計13レースにおける4コーナーの通過順別成績を調べてみた。すると4番手以内だった馬が10勝を挙げ、3着内率も44.8%と高い数値をマークしている。このコースでも4コーナーを前めの位置で通過しそうな馬が狙い目といえるだろう。〔表2〕
4コーナーの通過順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4番手以内 | 10-10-6-32 | 17.2% | 34.5% | 44.8% |
5番手以下 | 3-3-7-48 | 4.9% | 9.8% | 21.3% |
ちなみに、対象とした13レース中12レースの優勝馬は、前走の4コーナーの通過順が4番手以内だった。これに該当する馬であれば、今年の京都記念でも4コーナーを前めの位置で通過する可能性が高そうだ。〔表3〕
4コーナーの通過順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4番手以内 | 12-7-6-36 | 19.7% | 31.1% | 41.0% |
5番手以下 | 1-6-7-44 | 1.7% | 12.1% | 24.1% |
現在、芝2200メートル戦が行われているJRAの競馬場は5つ(新潟、中山、中京、京都、阪神)で、その距離で行われるオープンクラスのレースは年に10レース以下である。そこで、オープンクラスの芝2200メートル戦で3着以内に入った経験の有無別成績を調べてみると、過去10年の3着以内馬延べ30頭中16頭にはその経験があった。該当馬は3着内率50.0%と半数が3着以内に入っているだけに、この距離に実績のある馬は高く評価したい。〔表4〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 4-7-5-16 | 12.5% | 34.4% | 50.0% |
なし | 6-3-5-65 | 7.6% | 11.4% | 17.7% |
JRAのGⅠで3着以内に入った経験がある馬の好走率も非常に高く、この経験を持つ馬は過去10年で3着内率が50%を超えている。過去5年に限れば〔5・5・4・7〕と該当馬が3着以内馬延べ15頭中14頭を占めており、特に近年はこの経験を持つ馬の活躍が目立っている。〔表5〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 7-8-8-19 | 16.7% | 35.7% | 54.8% |
なし | 3-2-2-62 | 4.3% | 7.2% | 10.1% |
なお、JRAのGⅠで3着以内に入った経験がなかった馬を掘り下げてみると、勝ち馬3頭にはJRA重賞の優勝経験があった。この経験もなかった馬は勝ち切れていないうえに、3着内率も7.1%と芳しくない。該当馬は大幅に割り引いた方がいいだろう。〔表6〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 3-0-1-23 | 11.1% | 11.1% | 14.8% |
なし | 0-2-1-39 | 0% | 4.8% | 7.1% |
過去10年の京都記念では5歳馬が5勝、4歳馬も4勝を挙げており、この若い世代が中心となっている。4歳馬と5歳馬の中でも、2015年から2019年は皐月賞および日本ダービーに出走していた牡馬が、昨年は桜花賞およびオークスに出走していたクロノジェネシスが優勝と、2015年以降は3歳春のクラシックに出走経験のあった馬が連勝中だ。早期からGⅠ戦線でしのぎを削ってきた馬に注目してみるのも面白そうだ。〔表7〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 性齢 | 3歳春のクラシック成績 |
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2015年 | ラブリーデイ | 牡5 | 皐月賞15着、日本ダービー7着 |
2016年 | サトノクラウン | 牡4 | 皐月賞6着、日本ダービー3着 |
2017年 | サトノクラウン | 牡5 | 皐月賞6着、日本ダービー3着 |
2018年 | クリンチャー | 牡4 | 皐月賞4着、日本ダービー13着 |
2019年 | ダンビュライト | 牡5 | 皐月賞3着、日本ダービー6着 |
2020年 | クロノジェネシス | 牝4 | 桜花賞3着、オークス3着 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。