2020年の京都金杯で重賞初制覇を果たしたサウンドキアラは、続く京都牝馬Sと阪神牝馬Sを連勝し、GⅠのヴィクトリアマイルでも2着に食い込んだ。また、同2着のダイアトニックも、GⅠの高松宮記念で3着となったほか、函館スプリントSを制した。中京・芝1600メートルで行われる今年も、短距離路線の大舞台へつながる一戦となりそうだ。今回は過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみたい。
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、“前年4月以降のJRAのGⅠ・GⅡ”において9着以内となった経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率6.9%と苦戦している。前年の春以降にGⅠやGⅡに出走していない馬や、出走していたとしても9着以内に入っていない馬は、それぞれ評価を下げるべきだろう。〔表1〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-8-7-54 | 11.5% | 21.8% | 30.8% |
なし | 1-2-3-81 | 1.1% | 3.4% | 6.9% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、前走の着順が1着、もしくは2着以下で1着馬とのタイム差が0秒4以内だった。一方、前走の着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0秒5以上だった馬は、3着内率6.9%と苦戦している。前走好走馬が強いレースだ。〔表2〕
前走の着順と、1着馬とのタイム差 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着、もしくは2着以下で1着馬とのタイム差が0秒4以内 | 8-7-9-54 | 10.3% | 19.2% | 30.8% |
2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0秒5以上 | 2-3-1-81 | 2.3% | 5.7% | 6.9% |
また、前走の着順が2着以下、かつ1着馬とのタイム差が0秒5以上だった馬のうち、前走が“重賞以外”だった馬は全て4着以下に敗れている。前走で条件クラスやオープン特別に出走し大きなタイム差で敗れていた馬は、苦戦する可能性が高いとみておきたい。〔表3〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
重賞 | 2-3-1-54 | 3.3% | 8.3% | 10.0% |
重賞以外 | 0-0-0-27 | 0% | 0% | 0% |
過去10年の3着以内馬延べ30頭中24頭は、前走の単勝人気が「8番人気以内」だった。一方、「9番人気以下」だった馬は3着内率8.6%と苦戦している上、2016年以降の過去5年に限れば〔0・0・1・38〕(3着内率2.6%)とより苦戦を強いられている。直近のレースを比較する際は、着順だけでなく単勝人気もチェックしておくべきだろう。〔表4〕
前走の単勝人気 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
8番人気以内 | 9-9-6-71 | 9.5% | 18.9% | 25.3% |
9番人気以下 | 1-1-4-64 | 1.4% | 2.9% | 8.6% |
過去5年の3着以内馬15頭中11頭は、前走との間隔が「中3週以内」だった。一方、「中4週以上」だった馬は3着内率9.8%と苦戦している。近年の傾向を重視するならば、前走との間隔が比較的短い馬を高く評価したいところだ。〔表5〕
前走との間隔 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中3週以内 | 4-3-4-31 | 9.5% | 16.7% | 26.2% |
中4週以上 | 1-2-1-37 | 2.4% | 7.3% | 9.8% |
なお、前走との間隔が「中4週以上」だった馬のうち、“JRAの1600メートル以下、かつ出走頭数が15頭以上のGⅠ・GⅡ”において3着以内に入った経験のない馬は、全て4着以下に敗れている。前走との間隔が比較的長い馬同士を比較する際は、短距離、かつ多頭数のGⅠ・GⅡで好走したことがある馬に注目したい。〔表6〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-2-1-8 | 8.3% | 25.0% | 33.3% |
なし | 0-0-0-29 | 0% | 0% | 0% |
過去5年の優勝馬5頭は、いずれも年齢が6歳以下だった。7歳以上の馬で優勝を果たしたのは、1987年のドウカンヤシマ(7歳)が最後である。7歳以上の馬は評価を下げるべきだろう。また、この5頭は前走の着順が1着、もしくは2着以下でも1着馬とのタイム差が0秒4以内だった点、前走の単勝人気が6番人気以内だった点も共通している。〔表2〕や〔表4〕で挙げた傾向も重視した方がよさそうだ。〔表7〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 年齢 | 前走の着順 | 前走の1着馬とのタイム差 | 前走の単勝人気 |
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2016年 | ウインプリメーラ | 6歳 | 5着 | 0秒4 | 5番人気 |
2017年 | エアスピネル | 4歳 | 3着 | 0秒4 | 6番人気 |
2018年 | ブラックムーン | 6歳 | 5着 | 0秒4 | 2番人気 |
2019年 | パクスアメリカーナ | 4歳 | 1着 | - | 2番人気 |
2020年 | サウンドキアラ | 5歳 | 3着 | タイム差なし | 1番人気 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。