注記:1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスは、従来の500万円以下・1000万円以下・1600万円以下。
中山大障害はかつて春と秋の年2回行われていたが、障害レースにグレード制が導入された1999年に、春の競走は中山グランドジャンプにリニューアルされたため、以降は年1回の開催となっている。近年では2016年、2017年と連覇したオジュウチョウサンや、昨年の優勝馬シングンマイケルなどがその年のJRA賞最優秀障害馬に輝いており、このタイトル争いに向けても注目の一戦だ。ここでは、過去10年の結果からレースの傾向を探っていく。
ジャンプ界の一年を締めくくる一戦とあって、過去10年の3着以内馬延べ30頭中25頭が同年に行われた障害・オープンクラスのレースで優勝していた。この経験があった馬は3着内率40.3%と好走率も良好。同年に実績を残している馬を中心とした予想の組み立てが基本となりそうだ。〔表1〕
経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-6-10-37 | 14.5% | 24.2% | 40.3% |
なし | 1-4-0-67 | 1.4% | 6.9% | 6.9% |
さらに、同年に障害・オープンクラスのレースを優勝していた馬について、勝利したレースのグレード・格をチェックしてみると、J・GⅠもしくはJ・GⅡを優勝していた馬の過半数が3着以内に入る活躍を見せている。同年に、より格の高いレースを勝利していた馬を重視したいところだ。〔表2〕
グレード・格 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
J・GⅠ | 3-1-1-1 | 50.0% | 66.7% | 83.3% |
J・GⅡ | 2-1-2-4 | 22.2% | 33.3% | 55.6% |
J・GⅢ | 1-2-2-9 | 7.1% | 21.4% | 35.7% |
オープン(特別) | 2-1-2-9 | 14.3% | 21.4% | 35.7% |
オープン(平場) | 1-1-3-14 | 5.3% | 10.5% | 26.3% |
過去10年の前走別成績を調べると、該当馬が複数いるレースでは東京ハイジャンプだった馬の勝率が最も高く、3着内率も46.2%と上々の数値を示している。この他にも阪神ジャンプSからの臨戦馬が3着内率60.0%をマークしており、全体的に見ると前走が障害重賞だった馬の好走率が高い傾向にある。ただし、前走で京都ジャンプSに出走していた馬は3着内率11.8%と精彩を欠いており、同レースからの臨戦馬は割り引いた方がいいかもしれない。〔表3〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
中山グランドジャンプ(J・GⅠ) | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
東京ハイジャンプ(J・GⅡ) | 3-1-2-7 | 23.1% | 30.8% | 46.2% |
小倉サマージャンプ(J・GⅢ) | 1-0-0-0 | 100% | 100% | 100% |
阪神ジャンプS(J・GⅢ) | 0-2-1-2 | 0% | 40.0% | 60.0% |
京都ジャンプS(J・GⅢ) | 0-1-1-15 | 0% | 5.9% | 11.8% |
イルミネーションジャンプS | 2-3-5-33 | 4.7% | 11.6% | 23.3% |
秋陽ジャンプS | 2-0-1-15 | 11.1% | 11.1% | 16.7% |
オープン(平場) | 1-1-0-17 | 5.3% | 10.5% | 10.5% |
その他のレース | 0-2-0-15 | 0% | 11.8% | 11.8% |
なお、3着以内馬の半数にあたる延べ15頭は前走が障害のオープン特別または平場のオープンだったが、直近の5年に限れば、前走で障害重賞以外のレースに出走していた馬が勝っていない点は覚えておきたい。〔表4〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
障害重賞 | 5-3-2-16 | 19.2% | 30.8% | 38.5% |
その他のレース | 0-2-3-37 | 0% | 4.8% | 11.9% |
次に、過去10年の前走の着順別成績を見ていくと、3着以内馬延べ30頭中13頭が前走で1着だった。前走が2着または3着だった馬も好走率は高いレベルにあり、直近の5年では前走で3着以内に入っていた馬が〔5・4・5・19〕(3着内率42.4%)と3着以内馬の大半を占めている。なお、例外のブライトクォーツ(2019年2着)も前走では4着だった。近年は前走で大敗を喫していた馬の巻き返しが難しくなっている印象だ。〔表5〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 5-4-4-18 | 16.1% | 29.0% | 41.9% |
2着 | 2-2-5-7 | 12.5% | 25.0% | 56.3% |
3着 | 2-2-0-5 | 22.2% | 44.4% | 44.4% |
4着以下・競走中止 | 1-2-1-74 | 1.3% | 3.8% | 5.1% |
前走のグレード・クラスや着順の傾向をまとめると、過去5年の優勝馬延べ5頭は全て“前走が障害の重賞で3着以内”だった。これに該当する馬は〔5・3・2・8〕(勝率27.8%)と勝率が高い。また、優勝馬は全て障害重賞の勝利数が2勝以上だった点も共通している。近年の傾向を重視するのであれば、実績上位の馬を素直に評価するのが得策といえそうだ。〔表6〕
(高那実 マヤ)
年度 | 優勝馬 | 前走 | 障害重賞の勝利数 |
---|---|---|---|
2015年 | アップトゥデイト | 小倉サマージャンプ(J・GⅢ)1着 | 2勝 |
2016年 | オジュウチョウサン | 東京ハイジャンプ(J・GⅡ)1着 | 3勝 |
2017年 | オジュウチョウサン | 東京ハイジャンプ(J・GⅡ)1着 | 7勝 |
2018年 | ニホンピロバロン | 中山グランドジャンプ(J・GⅠ)3着 | 2勝 |
2019年 | シングンマイケル | 東京ハイジャンプ(J・GⅡ)1着 | 2勝 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。