注記:1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスは、従来の500万円以下・1000万円以下・1600万円以下。
2017年から2019年の朝日杯フューチュリティS出走馬のうち、翌年以降のJRAのGⅠにおいて優勝を果たした馬は、2020年11月末までの時点で既に6頭いる。その中には翌年のNHKマイルCを制した2017年4着のケイアイノーテック、2019年8着のラウダシオンのように、この朝日杯フューチュリティSで敗れた馬が後に出世した例も少なくない。今回は中山・芝1600メートルで行われていた2013年以前を含む過去10年のレース結果から、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、“1800メートル以上の重賞”を除くレースで5着以下に敗れた経験のない馬だった。一方、この経験があった馬は3着内率4.7%と苦戦している。1800メートル以上の重賞(札幌2歳S、東京スポーツ杯2歳S、京都2歳S)を除くレースで5着以下に敗れた経験のある馬は、過信禁物とみておいた方がよさそうだ。〔表1〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 1-0-2-61 | 1.6% | 1.6% | 4.7% |
なし | 9-10-8-72 | 9.1% | 19.2% | 27.3% |
過去10年の3着以内馬30頭中27頭は、“同年9月21日以降のJRAの芝1400メートル以上のレース”において1着となった経験のある馬だった。一方、この経験がなかった馬は3着内率3.9%と苦戦している。9月下旬以降に芝1400メートル以上のレースを勝っていない馬は、評価を下げたい。〔表2〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 9-8-10-60 | 10.3% | 19.5% | 31.0% |
なし | 1-2-0-73 | 1.3% | 3.9% | 3.9% |
過去10年の3着以内馬30頭中28頭は、通算出走数が「4戦以内」だった。一方、「5戦以上」だった馬は3着内率6.5%と苦戦しており、3着以内に入ったのは現在のところ2012年1着のロゴタイプが最後である。キャリア5戦以上の馬は、苦戦する可能性が高いとみるべきだろう。〔表3〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4戦以内 | 9-10-9-104 | 6.8% | 14.4% | 21.2% |
5戦以上 | 1-0-1-29 | 3.2% | 3.2% | 6.5% |
過去10年の3着以内馬30頭中25頭は、誕生月が「3月以前」だった。一方、「4月以降」だった馬は3着内率7.6%と苦戦している。2歳馬のレースということもあってか、比較的早い時期に生まれた馬の方が、好走する可能性が高いようだ。〔表4〕
誕生月 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
3月以前 | 8-9-8-72 | 8.2% | 17.5% | 25.8% |
4月以降 | 2-1-2-61 | 3.0% | 4.5% | 7.6% |
阪神・芝1600メートルで行われた過去6年の3着以内馬18頭中10頭は、前走の出走頭数が「13頭以上」だった。該当馬は3着内率も31.3%と優秀な水準に達している。臨戦過程を比較する際は、前走が多頭数のレースだった馬を高く評価したい。〔表5〕
前走の出走頭数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
12頭以下 | 2-2-4-59 | 3.0% | 6.0% | 11.9% |
13頭以上 | 4-4-2-22 | 12.5% | 25.0% | 31.3% |
一方、前走の出走頭数が「12頭以下」だった馬のうち、前走が「JRAの重賞以外のレース」だった馬は全て4着以下に敗れている。前走が少頭数、かつ重賞以外のレースだった馬は、評価を下げるべきだろう。〔表6〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
JRAの重賞 | 2-2-4-30 | 5.3% | 10.5% | 21.1% |
JRAの重賞以外 | 0-0-0-29 | 0% | 0% | 0% |
過去6年の優勝馬6頭は、いずれもJRAのレースにおいて全て2着以内に入っていた。〔表1〕で挙げた傾向からもわかる通り、このレースでは戦績の安定感を重視した方がよさそうだ。また、この6頭は“同年10月以降のJRAの芝1400メートル以上のレース”における最高着順が1着だった点、通算出走数が4戦以内だった点が共通しており、6頭中5頭は誕生日が3月以前だった。〔表2〕〔表3〕〔表4〕で示した傾向に合っているのが望ましい。〔表7〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | JRAのレースにおける最低着順 | 同年10月以降のJRAの芝1400m以上のレースにおける最高着順 | 通算出走数 | 誕生日 |
---|---|---|---|---|---|
2014年 | ダノンプラチナ | 2着 | 1着(ベゴニア賞) | 3戦 | 3月23日 |
2015年 | リオンディーズ | 1着(1戦1勝) | 1着(2歳新馬) | 1戦 | 1月29日 |
2016年 | サトノアレス | 2着 | 1着(ベゴニア賞) | 4戦 | 2月25日 |
2017年 | ダノンプレミアム | 1着(2戦2勝) | 1着(サウジアラビアRC) | 2戦 | 4月3日 |
2018年 | アドマイヤマーズ | 1着(3戦3勝) | 1着(デイリー杯2歳S) | 3戦 | 3月16日 |
2019年 | サリオス | 1着(2戦2勝) | 1着(サウジアラビアRC) | 2戦 | 1月23日 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。