注記:1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスは、従来の500万円以下・1000万円以下・1600万円以下。
秋競馬の目玉である古馬中距離GⅠ戦線の第一弾。1988年から1999年まで1番人気が12連敗して「荒れるGⅠ」とも言われていたが、ここ5年は1番人気が4勝を挙げる「堅いGⅠ」になっている。今年も堅く収まるのか、それとも波乱が起こるのか。過去10年のデータから好走馬の傾向を洗い出してみた。
天皇賞(秋)で重要なのはGⅠ実績。既にGⅠ優勝経験があった馬の3着内率が30%近くあるのに対し、GⅠ未勝利馬の3着内率は12.3%にとどまっている。近年はこの傾向がさらに強まっており、2015年から昨年までGⅠ馬が5年連続優勝中で、昨年は3着以内をGⅠ馬が独占した。馬券の軸はGⅠホースから選びたい。GⅠ未勝利馬は相手候補までと言えそうで、その中でも6歳以上のGⅠ未勝利馬は1頭も馬券に絡んでおらずデータ的には軽視したい。〔表1〕
優勝経験の有無 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 7-4-5-38 | 13.0% | 20.4% | 29.6% |
なし | 3-6-5-100 | 2.6% | 7.9% | 12.3% |
前走別成績を調べると、前走がGⅢ、オープン特別、地方・海外のレースだった馬は3着以内に入っていないため、馬券対象からは外しやすい。前走がGⅡだった馬も、3着以内に入っていたか、4着以下に敗れていたかで成績が大きく違っている。馬券対象は前走がGⅠだった馬、もしくはGⅡで3着以内だった馬の中から選びたい。〔表2〕
前走 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
GⅠ3着以内 | 2-2-1-9 | 14.3% | 28.6% | 35.7% |
GⅠ4着以下 | 1-3-2-16 | 4.5% | 18.2% | 27.3% |
GⅡ3着以内 | 6-3-6-43 | 10.3% | 15.5% | 25.9% |
GⅡ4着以下 | 1-2-1-54 | 1.7% | 5.2% | 6.9% |
GⅢ | 0-0-0-9 | 0% | 0% | 0% |
オープン特別 | 0-0-0-3 | 0% | 0% | 0% |
地方・海外 | 0-0-0-4 | 0% | 0% | 0% |
ここを秋の目標にしてきた馬と、ジャパンカップや有馬記念も見据えた馬が交錯するのが、天皇賞(秋)の特徴である。馬の状態や、仕上がりを数値で示すのは難しいが、馬体重の前走比にその一端が垣間見えるときもある。表にあるように、当日の馬体重がプラスだった馬は、マイナスや増減なしの馬に対して勝率がかなり低い。パドック気配と合わせて馬体重の増減にも注目したい。〔表3〕
馬体重前走比 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
マイナス | 8-4-2-62 | 10.5% | 15.8% | 18.4% |
増減なし | 1-1-4-14 | 5.0% | 10.0% | 30.0% |
プラス | 1-5-4-59 | 1.4% | 8.7% | 14.5% |
東京・芝2000メートルはスタート地点から2コーナーまでの距離が短いため、外枠の馬は2コーナーでの距離ロスが大きくなりがち。データの面でも顕著に特徴が表れており、ここ10年は13番から外に入った馬の勝利はなく連対率や3着内率も明らかに低い。優勝馬が多く出ているのは1番から8番、連対率ベースなら1番から12番の範囲が要注目となる。また、ゲートが後入れになりやすい偶数馬番の成績も良いことから、内寄りの偶数馬番となる2番、4番、6番、8番、この4つの馬番は特に注目だ。〔表4〕
馬番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番〜4番 | 4-3-0-33 | 10.0% | 17.5% | 17.5% |
5番〜8番 | 4-2-5-28 | 10.3% | 15.4% | 28.2% |
9番〜12番 | 2-4-2-32 | 5.0% | 15.0% | 20.0% |
13番〜18番 | 0-1-3-45 | 0% | 2.0% | 8.2% |
偶数馬番 | 8-4-8-62 | 9.8% | 14.6% | 24.4% |
奇数馬番 | 2-6-2-76 | 2.3% | 9.3% | 11.6% |
勝ち馬を探すときに真っ先に確認したいのは前走の単勝人気だ。前走で1番人気だった馬の勝率が22.6%あるのに対し、2番人気以下だった馬は勝率2.2%と大きく差がついている。〔表5〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 7-4-2-18 | 22.6% | 35.5% | 41.9% |
2番人気以下 | 3-6-8-117 | 2.2% | 6.7% | 12.7% |
ちなみに、過去5年の優勝馬は全て前走で1番人気に支持されていた上、当レースでも2番人気以内に支持されていた。前走での単勝人気と当レースでの単勝人気は、勝ち馬を予想する際の参考にできそうだ。〔表6〕
(姫園 淀仁)
年度 | 優勝馬 | 前走の単勝人気と着順 | 当レースでの単勝人気 |
---|---|---|---|
2015年 | ラブリーデイ | 京都大賞典1番人気1着 | 1番人気 |
2016年 | モーリス | 札幌記念1番人気2着 | 1番人気 |
2017年 | キタサンブラック | 宝塚記念1番人気9着 | 1番人気 |
2018年 | レイデオロ | オールカマー1番人気1着 | 2番人気 |
2019年 | アーモンドアイ | 安田記念1番人気3着 | 1番人気 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。