注記:1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスは、従来の500万円以下・1000万円以下・1600万円以下。
スプリンターズSは3歳から古豪まで幅広い年齢層から優勝馬が出ているGⅠ。比較的上位人気馬が強いのだが、時に二桁人気の馬が激走を見せることもある。そんなつかみどころがないGⅠでも切り口次第では攻略できるはず。新潟競馬場で行われた2014年を含む過去10年のデータから好走馬の特徴を分析してみた。
最初にチェックしたいのは騎手の乗り替わりの有無だ。騎手が乗り替わっていた馬は過去10年間でまったく勝てておらず、連対率もわずか1.5%にとどまっている。早い段階からここを目標にしてきた有力スプリンターは、騎手の確保も早い段階からできているのだろう。ここまで極端な傾向が出ているなら、乗り替わりとなった馬は軽視したい。スプリンターズSの予想は、前走と同じ騎手が乗っている馬を中心に組み立てるのがセオリーである。〔表1〕
騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
前走と同じ | 10-9-4-70 | 10.8% | 20.4% | 24.7% |
乗り替わり | 0-1-6-60 | 0% | 1.5% | 10.4% |
前走欄でぜひ確認しておきたいのは単勝人気である。表にあるように、前走で1番人気に支持されていた馬が過去10年で5勝と好成績を挙げている。それに加えて、1番人気から4番人気までと5番人気以下とでは好走率に大きな差が出ている。2018年に11番人気で2着に入ったラブカンプーや、2014年に13番人気で優勝したスノードラゴンも前走では4番人気以内だった。馬券の軸は前走で上位人気に支持されていた馬から選びたい。〔表2〕
前走の単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 5-2-3-20 | 16.7% | 23.3% | 33.3% |
2番人気 | 0-4-2-15 | 0% | 19.0% | 28.6% |
3番人気 | 3-2-1-21 | 11.1% | 18.5% | 22.2% |
4番人気 | 1-1-1-11 | 7.1% | 14.3% | 21.4% |
5番人気 | 0-0-0-7 | 0% | 0% | 0% |
6〜9番人気 | 0-0-3-33 | 0% | 0% | 8.3% |
10番人気以下 | 0-1-0-15 | 0% | 6.3% | 6.3% |
新潟競馬場で行われた2014年を除く過去9回の馬番別の成績をまとめると、中寄りの馬番が好成績となっている。スタートが決まらず包まれると厳しい展開になる内寄りの馬番(1番から5番)、距離ロスのある馬群の外を回らされるリスクがある外寄りの馬番(11番から16番)に対し、柔軟なレースができる中寄りの馬番(6番から10番)となった馬が好結果を残しやすいようだ。〔表3〕
馬番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1〜5番 | 1-3-6-35 | 2.2% | 8.9% | 22.2% |
6〜10番 | 6-3-2-33 | 13.6% | 20.5% | 25.0% |
11〜16番 | 2-3-1-47 | 3.8% | 9.4% | 11.3% |
スプリンターズSではミスタープロスペクター系種牡馬の産駒が過去10年で6勝を挙げている。特に近年は他系統を圧倒中で、2019年は1着のタワーオブロンドンだけでなく、2着のモズスーパーフレアと3着のダノンスマッシュも父がミスタープロスペクター系と、3着以内を独占。2018年は1着馬と3着馬、2017年は3着以内馬全ての父がミスタープロスペクター系だった。さらに、上位人気に支持された時の信頼度が高く、1、2番人気時の成績は〔5・1・1・1〕で、勝率は62.5%、3着内率は87.5%に達している。〔表4〕
年度 | 優勝馬 | 父 | 系統 |
---|---|---|---|
2010年 | ウルトラファンタジー | Encosta de Lago | ノーザンダンサー系 |
2011年 | カレンチャン | クロフネ | ノーザンダンサー系 |
2012年 | ロードカナロア | キングカメハメハ | ミスタープロスペクター系 |
2013年 | ロードカナロア | キングカメハメハ | ミスタープロスペクター系 |
2014年 | スノードラゴン | アドマイヤコジーン | グレイソヴリン系 |
2015年 | ストレイトガール | フジキセキ | サンデーサイレンス系 |
2016年 | レッドファルクス | スウェプトオーヴァーボード | ミスタープロスペクター系 |
2017年 | レッドファルクス | スウェプトオーヴァーボード | ミスタープロスペクター系 |
2018年 | ファインニードル | アドマイヤムーン | ミスタープロスペクター系 |
2019年 | タワーオブロンドン | Raven's Pass | ミスタープロスペクター系 |
直近のサマースプリントシリーズで活躍していた馬に注目が集まることが多いが、過去10年の優勝馬にほぼ共通しているのが春のGⅠ・GⅡ実績だ。GⅠ・GⅡ不出走だった2016年のレッドファルクスを除く延べ9頭には、同年春のGⅠで3着以内、もしくはGⅡ1着の実績があった。ちなみに、2014年のスノードラゴンは単勝13番人気という評価の低い中での優勝だった。各馬の成績を比較する際は、春シーズンの実績を忘れないようにしておきたい。〔表5〕
(姫園 淀仁)
年度 | 優勝馬 | 同年春の主な実績 |
---|---|---|
2010年 | ウルトラファンタジー | 香港ローカルG2・1着 |
2011年 | カレンチャン | 阪神牝馬S・1着 |
2012年 | ロードカナロア | 高松宮記念・3着 |
2013年 | ロードカナロア | 安田記念・1着ほか |
2014年 | スノードラゴン | 高松宮記念・2着 |
2015年 | ストレイトガール | ヴィクトリアマイル・1着 |
2016年 | レッドファルクス | GⅠ・GⅡ不出走 |
2017年 | レッドファルクス | 京王杯SC・1着 |
2018年 | ファインニードル | 高松宮記念・1着 |
2019年 | タワーオブロンドン | 京王杯SC・1着 |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。