注記:1勝クラス・2勝クラス・3勝クラスは、従来の500万円以下・1000万円以下・1600万円以下。
開催時期が10月となった2000年以降の菊花賞における3着以内馬60頭中、当レースに出走していた馬は11頭いた。もう一つの菊花賞トライアルである神戸新聞杯は37頭となっており、好走馬の数自体は大きく見劣りするものの、2019年にサトノルークスが単勝8番人気で2着、2017年にクリンチャーが同10番人気で2着、2015年にキタサンブラックが同5番人気で1着となるなど、近年はセントライト記念組が評価を覆した例が少なくない。約1か月後の“本番”を展望するうえでも見逃せない一戦だ。今回は過去10年のレース結果を中心に、好走馬に共通するポイントを分析してみよう。
過去10年の3着以内馬30頭中20頭は、“JRAのオープンクラスのレース”において1着となった経験のある馬だった。該当馬は3着内率も45.5%と優秀な水準に達している。まずは重賞やオープン特別を勝ったことがある馬に注目したい。〔表1〕
経験の有無 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
あり | 7-6-7-24 | 15.9% | 29.5% | 45.5% |
なし | 3-4-3-105 | 2.6% | 6.1% | 8.7% |
一方、“JRAのオープンクラスのレース”において1着となった経験がなかった馬のうち、前走がJRAのレースだった110頭の中で、そのレースの上がり3ハロンタイム(推定)順位が「2位以下」だった馬は3着内率4.8%とより苦戦している。まだオープンクラスで優勝を果たしたことがない馬同士を比較する際は、前走の末脚に注目するのがよさそうだ。〔表2〕
前走の上がり3ハロンタイム(推定)順位 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 3-2-1-21 | 11.1% | 18.5% | 22.2% |
2位以下 | 0-2-2-79 | 0% | 2.4% | 4.8% |
過去10年の3着以内馬30頭中16頭は、前走が「日本ダービー」だった。該当馬は3着内率も45.7%と優秀な水準に達している。「日本ダービー」からの直行組は高く評価すべきだろう。〔表3〕
前走 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
日本ダービー | 7-5-4-19 | 20.0% | 34.3% | 45.7% |
日本ダービー以外 | 3-5-6-110 | 2.4% | 6.5% | 11.3% |
なお、前走が日本ダービー以外のレースだった馬のうち、そのレースの距離が1800メートル以外だった馬は3着内率6.7%と苦戦している。臨戦過程を比較する際は、前走が「日本ダービー」だった馬と、「1800メートル」だった馬を重視したい。〔表4〕
前走の距離 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1800m | 3-1-4-27 | 8.6% | 11.4% | 22.9% |
1800m以外 | 0-4-2-83 | 0% | 4.5% | 6.7% |
過去10年の3着以内馬30頭中23頭は、前走の馬体重が「470キログラム以上」だった。一方、「470キログラム未満」だった馬は3着内率11.7%とやや苦戦している。ちなみに、2015年以降の過去5年に限ると前走で「470キログラム未満」だった馬は〔0・1・1・30〕(3着内率6.3%)である。馬格のない馬は過信禁物とみておきたいところだ。〔表5〕
前走の馬体重 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
470kg未満 | 1-4-2-53 | 1.7% | 8.3% | 11.7% |
470kg以上 | 9-6-8-76 | 9.1% | 15.2% | 23.2% |
なお、前走の馬体重が「470キログラム未満」だった馬のうち、当レースでの馬番が「1番、2番」だった馬は、優勝こそないものの3着内率は44.4%に達している。その反面、「3番から18番」だった馬は3着内率5.9%と苦戦している。馬格がなく、3番から外の馬番となった馬は、評価を下げるべきだろう。〔表6〕
馬番 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番、2番 | 0-2-2-5 | 0% | 22.2% | 44.4% |
3番〜18番 | 1-2-0-48 | 2.0% | 5.9% | 5.9% |
過去5年に絞り込むと3着以内馬15頭中、2015年2着のミュゼエイリアン、2019年1着のリオンリオンを除く13頭は、通算出走数が「6戦以下」だった。一方、「7戦以上」だった馬は3着内率4.9%と苦戦している。近年の傾向を重視するならば、キャリアが浅い馬に注目したい。〔表7〕
通算出走数 | 着度数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
6戦以内 | 4-4-5-21 | 11.8% | 23.5% | 38.2% |
7戦以上 | 1-1-0-39 | 2.4% | 4.9% | 4.9% |
過去5年の優勝馬5頭は、いずれも前走との間隔が中7週以上だった。また、これら5頭は、前走の馬体重が470キログラム以上だった点も共通している。勝ち馬を絞り込む際は、前走との間隔や、〔表5〕の項目で述べた前走での馬体重に注目したい。〔表8〕
(伊吹 雅也)
年次 | 優勝馬 | 前走との間隔 | 前走の馬体重 |
---|---|---|---|
2015年 | キタサンブラック | 中15週 | 520kg |
2016年 | ディーマジェスティ | 中15週 | 472kg |
2017年 | ミッキースワロー | 中7週 | 484kg |
2018年 | ジェネラーレウーノ | 中15週 | 498kg |
2019年 | リオンリオン | 中15週 | 474kg |
ご注意 当コーナーの情報は、特別登録の情報に基づき制作されております(データ分析は特別登録発表前に執筆されたものです)。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。