デイリーリポート

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2021年11月4日ブリーダーズカップフィリー&メアターフ展望

11ハロン(2200メートル)で争われるこのレースでは、ブリーダーズカップ(以下、BC)のこれまでの歴史の中でも見られてきた、クラシカルな激突が実現する。欧米両大陸を代表する牝馬が顔を合わせるからで、アメリカ大陸の威信を背負うのは、2021年の牝馬芝路線における最もエキサイティングな存在であり、ヨーロッパ大陸を代表するのは、2020年のヨーロッパにおいて活躍が顕著だった馬だ。そこに、フィリー&メアターフ初制覇を目論む日本から遠征してきた馬や、2020年のこのレースに続く連覇を狙って再渡米してきた馬や、伝統あるG1・オペラ賞を制しての参戦となる馬が加わる。素晴らしいレースとなる要素が満載である。

人気も割れることになりそうだが、主催者発表想定オッズ(モーニングライン)でわずかの差で1番人気になっているのは、アメリカの競馬ファンが大きな期待を寄せる、ジョージ・クリコリアン氏のウォーライクゴッデス(父イングリッシュチャンネル)だ。OBS6月2歳市場にてたった3万ドルで購買されたこの鹿毛馬は、セールで購買された翌年の秋までデビューしなかった。しかし初出走以降は、ほとんど躓きを見せることなく、ここまで出世し、7戦6勝という戦績を引っ提げてBCに臨むのである。3歳時、チャーチルダウンズ競馬場で2連勝を果たした後、今季初戦となった、2月27日にガルフストリームパークで行われたザベリーワンS(G3・アメリカ)で5着に敗れ、生涯で唯一の敗戦を喫している。だがその1か月後、同じガルフストリームパークで行われたオーキッドS(G3・アメリカ)では、上がり3ハロンを34秒05で駆け抜けるという強烈な末脚を見せて優勝し、再び上昇気流に乗った。その末脚がホンモノであることは、4月23日にキーンランドで行われたビウィッチS(G3・アメリカ)でも実証され、ここでも後続に3馬身3/4差という決定的な差をつけて優勝。さらに夏のサラトガでも、グレンズフォールズS(G2・アメリカ)とフラワーボウルS(G1・アメリカ)を、いずれも圧倒的な内容で制覇し、サラトガの競馬ファンをおおいに沸かせたのだった。

素晴らしい競馬を続けている馬であることに疑いはなく、人気の中心となって当然なのだが、ここでの相手関係はこれまでに比べて、遥かに強化されていることもまた、疑いのない事実である。中でも、世界的組織クールモアの自家生産馬であるラブは強敵だ。ラブは、ウォーライクゴッデスより1つ内側の、6番枠からのスタートとなる。 鼻に掛かる大流星を持つ栗毛のラブは、2歳時に既にモイグレアスタッドS(G1・アイルランド)を制していたが、ヨーロッパの競馬を席巻したのが昨年夏だった。英1000ギニー、英オークス、ヨークシャーオークス(以上、G1・イギリス)を、いずれも圧倒的なレース内容で優勝し、3競走で2着馬につけた着差の合計は、18馬身1/4に達した。その後10か月近く戦列を離れた後、ラブはロイヤルアスコット2日目(6月16日)のプリンスオブウェールズS(G1・イギリス)で戦線復帰。牡馬との初対戦となったこのレースを、巧みなレース運びで勝利している。その後のラブは、周囲の大きな期待に応えているとは言い難いが、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS、英インターナショナルS(以上、G1・イギリス)で、いずれも堅実な走りを見せて3着に健闘。牝馬同士の戦いに戻った、9月12日にカラで行われたブランドフォードS(G2・アイルランド)でも、短アタマ差の2着に惜敗している。

7頭で乗り込んできた日本勢だが、期待の半ば以上がその両肩にのしかかっているのは、ラヴズオンリーユー(父ディープインパクト)だろう。デビューからいきなり無敗の4連勝を飾り、その4連勝目となったのがGⅠ・優駿牝馬(日本のオークス)だった。この鹿毛馬はしかし、5戦目からは6連敗を喫している。ようやくウイナーズサークルに帰ってくることができたのが、今年2月14日に阪神で行われた京都記念(GⅡ)だった。そして、3月27日にメイダンで行われたドバイシーマクラシック(G1・UAE)で、力強い競馬を見せて3着に健闘。この5歳馬は次なる戦いで、これまでの彼女にとって最も意義ある勝利を手にすることになった。日本調教馬が上位を独占することになったシャティンのクイーンエリザベスⅡ世C(G1・香港)で、優勝を手にしたのである。前走となったのが、8月22日に札幌で行われた札幌記念(GⅡ)。ここでの彼女は、前年の2歳牝馬チャンピオンで、今年の春にGⅠ・桜花賞(日本の1000ギニー)を制しているソダシ(父クロフネ)の2着となっている。

昨年のこのレースで、オッズ17対1(18倍)での出走で波乱を演出したのがアウダーリャ(父ウートンバセット)だ。連覇を狙って遠征してきた彼女は、12番という大外枠からの発走となる。5歳となった彼女の今季初戦となったのがプリンスオブウェールズS(G1)で、オッズ10対1(11倍)に支持された彼女はラブの2着に健闘した。だが、7月29日にグッドウッドで行われたナッソーS(G1・イギリス)では5着、ファンをがっかりさせている。8月22日にドーヴィルで行われたジャンロマネ賞(G1・フランス)では、勝ち馬から短アタマ差の2着と巻き返したが、前走のオペラ賞(G1)では4着に敗れている。

そのオペラ賞で良い競馬を見せて優勝したのは、急上昇していた3歳馬のルジール(父テリトリーズ)だった。2歳時にG3制覇の実績があったルジールは、3歳となった今年は春から重賞競走への出走を続けた。そして、クロエ賞(G3・フランス)では勝ち馬からアタマ差の2着、ロートシルト賞(G1・フランス)では勝ち馬から1/2馬身差の4着、ノネット賞(G2・フランス)では勝ち馬からアタマ差の3着と、あと一歩のところで涙をのんだ末に、最後の一完歩まで戦い抜いた前走のオペラ賞でついに、写真判定を通じてG1のタイトルを手にしたのである。ルジールが勝てば、3歳馬によるBCフィリー&メアターフ制覇は、過去6年で4度目のこととなる。

ワイルドカード
地元アメリカの競馬ファンが期待を寄せるもう1頭が、ゴーイングトゥベガス(父ゴールデンセンツ)だ。この馬の紹介する順番が最後になってしまったことに、憤っているファンもいるかもしれない。直前3連勝で、これまでの生涯で最もタフな戦いになるであろうBCフィリー&メアターフに挑むゴーイングトゥベガス。外枠を引いた有力馬の何頭かは、最初のコーナーで苦労することを考えると、1番という好枠を引いたことは大きなアドバンテージである。今年に入って3つの重賞を制しており、前走となった、10月2日にサンタアニタで行われたロデオドライブS(アメリカ)では、G1初制覇を果たしている。5万ドルでクレーミングされた過去がある馬が、大きな出世を遂げたわけである。同馬には、先行するスピードがあるのも強みだ。そして、この馬以外には、ハナを主張しそうな馬はいない。

ご注意

当コーナーの情報は、登録情報を基に制作されております。競走データは公式データと照合し、それ以外の表記は主に現地報道を参考に制作しております。出走回避・出走取消などによりレースに出走しない可能性がございます。また、当コンテンツの内容においては、JRAが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。

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