フェブラリーS（GⅠ）にはハイレベルなメンバーが集結。モーニン、ゴールドドリーム、ノンコノユメという過去3年の優勝馬に加え、6連勝で東海Sを制したインティ、重賞2勝を含む4連勝をマークしているコパノキッキング、東京大賞典を勝ったオメガパフューム、GⅠ・JpnⅠで連続3着のサンライズソアなどが顔をそろえた。

レースを引っ張ったのは1番人気のインティだ。初のマイル戦、しかもパドックから返し馬にかけてテンションが高く、鞍上・武豊騎手は「やる気がありすぎ」と不安を覚えたという。それでも前に行ってこそ持ち味の生きる馬、この日も先手を主張し、芝コースからダートコースに差し掛かったところでハナに立つ。

そこからは「道中はいいリズムで走れた」とマイペース。直後にサンライズソア、好位勢の後ろにモーニン、ゴールドドリーム、オメガパフューム、中団にノンコノユメ、後方にコパノキッキングらが位置する隊列を率いて3コーナー、4コーナーと回っていく。

そして直線。「後ろから強い馬が来るのはわかっている。いまのうちにリードを広げよう」と、武騎手は一気に後続を突き放す策を選択。残り400から300メートルの間に2馬身、3馬身、4馬身と差を広げていく。ただ1頭、馬群の中から抜け出してきたのは“強い馬”、GⅠ・JpnⅠで計4勝と断然の実績を誇る2番人気のゴールドドリームだ。依然として脚色の衰えないインティを懸命に追撃するゴールドドリーム。だがクビ差まで詰め寄るのがやっと、悠々と粘り切ったインティが先頭ゴールを果たしたのだった。

「思い通りのレース」と武騎手。さらに、未勝利戦からノンストップの7連勝でGⅠ初制覇を成し遂げたインティを「ニュースター誕生ですね。でもまだまだ伸びしろがある」と讃える。この上昇曲線はまだ続くのか、そして、昨年のJRA賞最優秀ダートホース・ルヴァンスレーヴとどちらが強いのか。先々への期待を抱かせる完勝劇だった。

（谷川　善久）