4歳世代からは皐月賞馬アルアイン、日本ダービー馬レイデオロ、菊花賞馬キセキという昨年のクラシック・ウィナー3頭のほか、今春の大阪杯勝ち馬スワーヴリチャード、前走で札幌記念を勝っているサングレーザーが参戦。5歳世代にも、一昨年の日本ダービー馬マカヒキ、秋華賞のほかドバイでもG1を制したヴィブロス、今年の宝塚記念優勝馬ミッキーロケットと実績馬がそろった。

少頭数ながら質の高いメンバーが集った天皇賞（秋）（GⅠ）で、並みいる強豪たちを打ち負かして盾獲りに成功したのがレイデオロだ。

キセキの逃げをヴィブロスとアルアインが追う展開。ミッキーロケットは好位、サングレーザーは中団につけ、マカヒキとスタートでダッシュがつかなかったスワーヴリチャードは後方に構える。レイデオロは6番手。鞍上のクリストフ・ルメール騎手が「ちょうどいいペース。外からのプレッシャーもなく、リラックスしていた」と振り返るスムーズな追走だ。

緩みないピッチを刻みながら、隊列は縦長のまま直線へと向かい、激しい追い比べへと突入する。ここで「長く脚を使って頑張ってくれた」という、レイデオロ渾身のラストスパートが炸裂。残り100メートル地点で先頭へ躍り出ると、そこからも力強いストライドで駆け続け、粘るキセキと追い込んだサングレーザーの2着争いに1馬身4分の1差をつけて先頭ゴールを果たすことになる。

ルメール騎手いわく「コンディションは完璧。レースも完璧」。確かに、これで天皇賞（秋）6勝目となる藤沢和雄調教師による万全の仕上げと、3週連続GⅠ制覇となったルメール騎手の冷静な手綱さばきが合わさって成し遂げられた勝利と言えそうである。

（谷川　善久）