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今週末の中山競馬場では、今年最初のGIレース、フェブラリーSが行われます。中央、地方のダート重賞を舞台に活躍する実力馬が顔を揃え、ダートチャンピオン決定戦にふさわしい見ごたえのある好勝負が堪能できそうです。力強く先頭でゴールを駆け抜けるのは果たしてどの馬か、レースが今から楽しみですね。
フェブラリーSは今年で20回目の施行となるレースですが、創設当初はフェブラリーHの名称で行われていたハンデキャップのGIII重賞でした。ダート路線の整備された現在では信じられないことですが、フェブラリーHが作られるまで、東京、中山、京都、阪神の中央場所にダートコースを使って行われる重賞はひとつもありませんでした。
中央競馬にグレード制が導入されたのは昭和59年のことですが、その際、新設されたのが東京のフェブラリーHと中京のウインターS。ダートを得意にする馬にとって、格付けはGIIIでも中央場所で唯一行われるダート重賞のフェブラリーHの新設は、実に大きな意味を持つ出来事だったと言えるでしょう。
ハンデ戦、GIIIという条件は平成5年の第10回まで続きましたが、その最後の年の優勝馬が今回の優勝馬物語の主役であるメイショウホムラ。父ブレイヴェストローマン、母の父マルゼンスキーというメイショウホムラの血統はいかにもダート巧者といった感じですが、本格化は4歳秋から5歳春にかけてと遅く、それまではダート戦でもなかなか勝ち星をあげられずにいた地味な存在の馬でした。
メイショウホムラは昭和63年2月に、北海道新冠町の北星村田牧場で生まれました。母のメイショウスキーは13戦1勝という平凡な成績の馬ですが、半姉にラジオたんぱ賞優勝馬ホクセーミドリ、南関東の重賞で大活躍したミサトクインを持つ良血馬。2頭の姉に比べて競走馬時代の成績は大きく見劣るものの、繁殖牝馬としては姉をはるかに上回る活躍振り。受胎率の悪い姉たちとは対照的に抜群の受胎率を誇り、常に一流種牡馬を配合される牧場を代表する繁殖牝馬でした。
「メイショウスキーに一流種牡馬を付けるのは、確実に受胎してくれるからこそでもあるんです。競走馬としては1勝で終わったわけですが、結局、フェアリーテイルの後継牝馬としてはメイショウスキーが最も成功していることになりますね」
メイショウホムラがフェブラリーHで重賞初制覇を果たしたとき、北星村田牧場の村田光雄場主はこうコメントしています。
フェアリーテイルというのは牧場の基礎牝馬で、昭和43年に牧場が輸入したベルギー産の繁殖牝馬。その子供で最も活躍したのが先に出てきたホクセーミドリで、牧場では高値での購入希望をすべて断り、フェアリーテイルの後継牝馬として繁殖入りさせた期待馬でした。
ところが、ホクセーミドリは不受胎が多く、牧場としても不受胎でも種付け料が戻ってこない一流種牡馬をそうそう付けるわけにはいきません。その間にも妹のメイショウスキーは次々と元気な子供を産み、2番子のメイショウホムラが重賞タイトルを獲得する大活躍。孝行息子の頑張りもあり、メイショウスキーは繁殖牝馬として姉を上回る評価を得たのでした。
ただ、繁殖牝馬としては期待ほどの成績を残すことができなかったホクセーミドリですが、数少ない子供の中の1頭、セブンレットウという牝馬が後に阪神3歳牝馬S優勝馬アインブライドの母になるのですから、フェアリーテイルの牝系はやはり相当に優秀と言えるでしょう。
平成2年11月、初戦のダート1400メートル戦で2着馬に大差をつける鮮烈なデビューを飾ったメイショウホムラは、格上挑戦した2戦目の京都3歳Sでも3着に健闘し、芝でも高い能力のあるところを見せます。続くGIレースの阪神3歳Sでは力及ばずイブキマイカグラの7着に敗れますが、このレースでも着差は1秒3。決して将来性を悲観するような内容ではなく、管理する高橋成忠調教師にしてみても、クラシックロードを歩めるかもしれない期待馬として成長振りを楽しみにしていたはずです。
ところが、メイショウホムラは阪神3歳S後に骨折が判明して放牧へ。休養は11ヵ月もの長期にわたり、ようやく戦列に復帰したときにはすでにクラシック戦線は幕を閉じていました。
500万条件からのスタートとなったメイショウホムラは、長期休養明け初戦のダート1200メートル戦を7馬身差で楽勝し力の違いを見せつけると、900万条件も2戦目で楽々と突破。潜在能力の高さから準オープンを勝ち上がるのも時間の問題と思われましたが、この壁が予想以上に厚く、途中、夏に降級もありましたが、オープン入りに9戦を要してしまいます。さらに、オープン初戦の特別戦で7着に敗れると、どうしても底を見せた印象はぬぐえません。続くフェブラリーHは7番人気とデビュー以来最も低い評価での出走となりましたが、東西のダート巧者が揃った重賞だけに、人気が落ちたのは当然のことといえたでしょう。
このレースで、メイショウホムラの騎乗を柴田政人騎手に依頼した高橋調教師は、
「道中で掛からずに折り合いがつけられれば、追って伸びる馬だから」
と、レース前に柴田騎手に伝えていたそうです。
その言葉通り、好位でうまく柴田騎手と息の合った走りを見せたメイショウホムラは、近走のじれったいレース振りが嘘のように直線に入ると末脚を爆発。あっと言う間に馬群を抜け出すと、2着シンワコウジに2馬身半差をつけ悠々と先頭でゴールを駆け抜けました。
「これほどあっさりと勝つとは思わなかった」
と、手綱を取った柴田騎手もびっくりの圧勝劇でしたが、メイショウホムラの能力について尋ねられると、
「強い馬だね。ハンデの55キロには恵まれましたが、まだまだ強くなりそうですよ」
と、初騎乗ながら柴田騎手はメイショウホムラの潜在能力の高さを感じ取った様子で、決してハンデに恵まれただけの優勝ではないことを強調しています。
柴田騎手が初騎乗で感じ取った通り、メイショウホムラはフェブラリーH後、オープンで5戦して4勝と完全に本格化。この5戦の中の唯一の敗戦は芝の阪急杯で、ダート戦に限ればフェブラリーHから実質、5連勝を果たしていることになります。
この連勝後は59キロ、60キロという厳しい斤量に苦しめられ勝ち星をあげられずに引退しているメイショウホムラですが、最優秀ダートホースに選出された5歳春の活躍振りが評価され、引退後は種牡馬生活に入ることができました。
GIII1勝馬だけに配合相手には恵まれませんが、中央に入きゅうしたわずかな産駒の中からメイショウシャーク、メイショウドバイ(抹消)の2頭が2勝をマーク。現3歳世代では1頭だけ誕生したメイショウバトラーという牝馬が、父の所属した高橋きゅう舎でのデビューを待っています。このメイショウバトラーの母メイショウハゴロモは中央3勝馬で、メイショウホムラの配合相手としては期待の大きい1頭。メイショウバトラーには、父の代表産駒となるような活躍を期待したいものです。
※年齢は新表記、レース名は当時の表記。
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