昭和59年(1984年) 第4回ジャパンカップ(GI)優勝馬
 日本の夜明け カツラギエース
 
   
昭和59年 第25回宝塚記念
昭和59年 第4回ジャパンカップ
 
   
 
 昭和56年に創設された第1回のジャパンカップが終わった時、日本の競馬に携わる人々が感じたのは絶望にも似た衝撃だった。大きな期待を担ったわが国のトップホースたちは、米国のメアジードーツをはじめとする外国馬にまるで歯が立たず完敗。世界の壁の厚さをまざまざと思い知らされたからだ。しかし当初ははるかなる存在と思われた勝利の栄光に、日本の人馬は駆け足で近づいていく。第3回のレースではキョウエイプロミスが競走中に故障を発症しながら2着に食い込み、夜明けが迫っていることをアピール。そして翌昭和59年、日本馬に記念すべき初勝利をもたらしたのが、内外の強豪を相手に見事な逃走劇を演じたカツラギエースだった。
 この年、日本のエースと目されていたのは2頭の三冠馬だった。秋の天皇賞で四冠目のタイトルをゲットしたミスターシービーと、菊花賞で無傷の三冠に輝いたシンボリルドルフ。世界の厚い壁も彼らなら突破できるはずと期待を集めた両馬に対し、一方のカツラギエースは10番人気に甘んじていた。クラシックロードを歩んだ前年はNHK杯と京都新聞杯に優勝、中距離路線に照準を定めた旧5歳春はサンケイ大阪杯→京阪杯→宝塚記念と3連勝を飾ってGI馬の仲間入りを果たし、秋初戦の毎日王冠では前年の京都新聞杯に続いてミスターシービーに土をつけた同馬だが、天皇賞で折り合いを欠き5着に沈んだことに加え、2200メートルを超える距離での好走歴がなかったため、大きく評価を下げていたのだ。
 しかしスタンドからの歓声を遮断するため初めて覆面を着用し、敏感な面があるパートナーをのんびり走らせるために主戦の西浦勝一騎手が従来よりも長めに手綱を持って臨んだレース。まんまとマイペースの逃げに持ち込んだカツラギエースは互いに牽制し合って身動きがとれない有力馬を尻目に、“先取点”を確実に膨らませていった。直線に向いてもまだ脚色に衰えは見られない。軽んじていた逃げ馬が十分な余力を蓄えていることを知った後続も懸命の追撃をかけたが、時すでに遅く、2着に追い込んだ英国のベッドタイムに1馬身半のリードを開いてメモリアルゴールを駆け抜けた。
 展開の追い風をいっぱいに受けた勝利であったことは確かながら、続く有馬記念でもシンボリルドルフの2着を死守し、地力の高さを改めて証明した。種牡馬入りしてからもアポロピンク(東京ダービー)、ヤマニンマリーン(サンケイスポーツ賞4歳牝馬特別)などの活躍馬を送り出した同馬は平成12年の夏、この世を去ってしまったけれど、世界の扉を初めて開き、ジャパンカップに一番槍をつけた功績の大きさはいつまでも色褪せることはない。

 
   
 
カツラギエース
牡 黒鹿毛 昭和55年4月24日生
調教師 土門一美 馬主 野出長一氏→野出一三氏
昭和59年度最優秀5歳以上牡馬

ボイズイーボーイ
1965 黒鹿
King's Troop Princely Gift
Equiria
Rising Hope The Phoenix
Admirable

タニノベンチヤ
1971 黒鹿
ヴエンチア Relic
Rose o'Lynn
アベイブリツジ Entente Cordiale
British Railways
 
   
 
 通算22戦10勝
 
 
年月日 レース名 距離 人気 着順 タイム 斤量 騎手
昭57. 9.19 阪神 新馬 1200 6 1 1:10.4 53 崎山 博樹
10. 3 阪神 萩特別400万下 1400 1 2 1:23.1 53 崎山 博樹
10.16 京都 りんどう特別400万下 1200 1 1 1:10.3 53 崎山 博樹
11.27 京都 ラジオたんぱ賞3歳S 1600 3 3 1:36.6 55 崎山 博樹
58. 2.20 京都 4歳S 1600 3 13 1:39.8 55 崎山 博樹
3.19 阪神 春蘭賞800万下 2000 4 1 2:04.5 55 崎山 博樹
4.17 中山 皐月賞 2000 7 11 2:10.4 57 崎山 博樹
5. 8 東京 NHK杯 2000 9 1 2:02.9 56 崎山 博樹
5.29 東京 東京優駿 2400 3 6 2:30.7 57 崎山 博樹
6.26 中京 中京4歳特別 1400 1 2 1:23.0 58 崎山 博樹
10. 2 阪神 神戸新聞杯 2000 1 2 2:01.1 56 崎山 博樹
10.23 京都 京都新聞杯 2000 2 1 2:02.0 57 西浦 勝一
11.13 京都 菊花賞 3000 2 20 3:12.6 57 西浦 勝一
59. 3.11 阪神 鳴尾記念GII 2500 8 4 2:35.1 55 西浦 勝一
4. 1 阪神 サンケイ大阪杯GII 2000 1 1 2:00.6 56 西浦 勝一
5.13 京都 京阪杯GIII 2000 1 1 2:02.1 58.5 西浦 勝一
6. 3 阪神 宝塚記念GI 2200 1 1 2:12.4 56 西浦 勝一
6.24 中京 高松宮杯GII 2000 2 5 2:04.4 59 西浦 勝一
10. 7 東京 毎日王冠GII 1800 3 1 1:47.5 59 西浦 勝一
10.28 東京 天皇賞(秋)GI 2000 2 5 1:59.5 58 西浦 勝一
11.25 東京 ジャパンカップGI 2400 10 1 2:26.3 57 西浦 勝一
12.23 中山 有馬記念GI 2500 3 2 2:33.1 57 西浦 勝一
 
  ※レース名は当時の表記による  
   
  2006.11.26 レーシングプログラム掲載