平成9年(1997年) 第49回朝日杯3歳S(朝日杯フューチュリティS)(GI)優勝馬
 衝撃のワンダーホース グラスワンダー
 
   
平成9年  第49回朝日杯3歳S(GI)
平成10年 第43回有馬記念(GI)
平成11年 第40回宝塚記念(GI)
平成11年 第44回有馬記念(GI)
 
   
 
 昭和37年からは一貫して中山・芝1600bを舞台に争われてきた朝日杯フューチュリティS(平成12年までは朝日杯3歳S)だが、その優勝タイムの変遷を振り返ってみると“節目”といえるような記録をいくつか指摘することができる。とりわけ昭和51年、マルゼンスキーが刻んだ1分34秒4のレコードは巨大な壁となって後へ続く者たちの前に立ちはだかった。この記録を14年ぶりに更新したのが平成2年のリンドシェーバー(1分34秒0)で、これもひとつの節目に数えられるだろう。そして平成9年、ついに34秒台の壁をぶち破った初めての3歳チャンピオン(旧年齢表記=以下同じ)がグラスワンダーだった。
 9月に中山で迎えた初陣からずば抜けた潜在能力と古馬のような風格をアピールしながら勝ち進んできたグラスワンダーは、3戦3勝の実績と単勝1.3倍という断然の支持を背にレースへ臨んだ。焦点はどの馬が勝つかではなく、どんな勝ちっぷりを見せるか──。そんな声さえ聞かれるほど存在感は際立っていたが、世代最初の頂点を争う一戦で演じたパフォーマンスは、周囲が抱いた大きな期待と予感に違わぬものだった。道中は中団馬群の外めにつけ、そのまま外を回って進出を開始、直線に向くとまったく危なげのない脚色で抜け出してきた。手綱を取った的場均騎手は軽くムチを入れた程度、しかも終始、馬群の外めを回す安全運転でレコードを塗り替え、無傷の戴冠を果たした。
 翌春に見舞われた骨折を皮切りに、以降のグラスワンダーは数々の不運に苛まれる。慢性化した骨膜炎に悩まされ、5歳春の産経大阪杯の直前には馬房の中で瞼(左眼下)に外傷を負い、出走断念を余儀なくされたこともあった。しかし満身創痍といえた肉体からとてつもない能力を振り絞り、4〜5歳にかけて有馬記念→宝塚記念→有馬記念を制覇、グランプリ3連覇の金字塔を樹立したことは記憶に新しい。
 もっとも、3歳時のグラスワンダーがそうした大きなアクシデントとは無縁だったことを考えると、朝日杯3歳Sの勝利はまた別の意味合いを帯びてくる。今年で57回目を迎えるレースの歴史に大きなピリオドを刻んだ“33秒台の衝撃”こそ、グラスワンダーが送った波乱万丈な競走生活を通じての「ベストパフォーマンス」だったのかもしれない。
 
   
 
グラスワンダー
牡 栗毛 平成7年2月18日生
調教師 尾形充弘 馬主 半沢(有)
平成9年度JRA賞最優秀3歳牡馬、
平成11年度JRA賞特別賞

Silver Hawk
1979 鹿
Roberto Hail to Reason
Bramalea
Gris Vitesse Amerigo
Matchiche

Ameriflora
1989 鹿
Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Graceful Touch His Majesty
Pi Phi Gal
 
   
  通算15戦9勝  
 
年月日 レース名 距離 人気 着順 タイム 斤量 騎手
平9. 9.13 中山 新馬 1800 1 1 1:52.4 53 的場均
10.12 東京 アイビーS 1400 1 1 1:21.9 53 的場均
11. 8 東京 京成杯3歳S(GII) 1400 1 1 1:21.9 54 的場均
12. 7 中山 朝日杯3歳S(GI) 1600 1 1 R1:33.6 54 的場均
10.10.11 東京 毎日王冠(GII) 1800 2 5 1:46.4 55 的場均
11. 7 東京 アルゼンチン共和国杯(GII) 2500 1 6 2:33.5 57 的場均
12.27 中山 有馬記念(GI) 2500 4 1 2:32.1 55 的場均
11. 5.15 東京 京王杯スプリングC(GII) 1400 1 1 1:20.5 58 的場均
6.13 東京 安田記念(GI) 1600 1 2 1:33.3 58 的場均
7.11 阪神 宝塚記念(GI) 2200 2 1 2:12.1 58 的場均
10.10 東京 毎日王冠(GII) 1800 1 1 1:45.8 59 的場均
12.26 中山 有馬記念(GI) 2500 1 1 2:37.2 57 的場均
12. 3.26 中山 日経賞(GII) 2500 1 6 2:36.3 59 的場均
5.14 東京 京王杯スプリングC(GII) 1400 1 9 1:21.6 59 的場均
6.25 阪神 宝塚記念(GI) 2200 2 6 2:14.7 58 蛯名正義
 
  ※レース名は当時の表記による  
  2005.12.10 レーシングプログラム掲載