今週の注目レース
京都競馬場 3200メートル(芝・外)定量 4歳以上オープン
昨年は単勝1番人気に支持されたキタサンブラックがレコードタイムで優勝し、2着には4番人気のシュヴァルグラン、3着には2番人気のサトノダイヤモンドが入った。しかし、それ以前は下位人気馬の台頭も多く、過去10年のうち6年で単勝10番人気以下の馬が3着以内に食い込んでいる。今年も3200メートルという距離を味方につけられそうなタイプには注意が必要。日本競馬の伝統が息づく頂上決戦の傾向を、過去10年の結果をもとに見ていきたい。
冒頭に記したとおり、天皇賞(春)は下位人気馬が上位に食い込むことが多い一戦。過去10年の単勝人気別成績を調べると、1番人気馬が不振で、2番人気馬の成績が良好となっている。昨年は1番人気のキタサンブラックが優勝したが、1番人気馬の優勝は2006年のディープインパクト以来11年ぶりだった。〔表1〕
単勝人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1番人気 | 1-0-1-8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
2番人気 | 4-1-2-3 | 40.0% | 50.0% | 70.0% |
3番人気 | 1-4-1-4 | 10.0% | 50.0% | 60.0% |
4番人気 | 1-3-0-6 | 10.0% | 40.0% | 40.0% |
5、6番人気 | 0-0-3-17 | 0% | 0% | 15.0% |
7〜9番人気 | 1-1-0-28 | 3.3% | 6.7% | 6.7% |
10番人気以下 | 2-1-3-78 | 2.4% | 3.6% | 7.1% |
単勝オッズ別の成績も見てみると、単勝1倍台の支持を得ていた馬が3頭とも4着以下に敗れている。それに対し、「4.0〜9.9倍」の馬の好走が多くなっている。〔表2〕
単勝オッズ | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1.9倍以下 | 0-0-0-3 | 0% | 0% | 0% |
2.0〜3.9倍 | 1-0-2-5 | 12.5% | 12.5% | 37.5% |
4.0〜6.9倍 | 5-2-1-6 | 35.7% | 50.0% | 57.1% |
7.0〜9.9倍 | 0-3-2-8 | 0% | 23.1% | 38.5% |
10.0〜19.9倍 | 2-3-1-16 | 9.1% | 22.7% | 27.3% |
20.0〜49.9倍 | 1-1-2-32 | 2.8% | 5.6% | 11.1% |
50.0〜99.9倍 | 0-1-0-25 | 0% | 3.8% | 3.8% |
100倍以上 | 1-0-2-49 | 1.9% | 1.9% | 5.8% |
過去10年の年齢別成績を調べると、ベテラン勢の出走も多いGⅠだが、好成績を残しているのは若い世代で、その中でも5歳馬が9頭も連対している。また、4歳馬は3勝を挙げ、2着は1回だけだが、3着が5回もある点は覚えておいてもいいだろう。〔表3〕
年齢 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
4歳 | 3-1-5-35 | 6.8% | 9.1% | 20.5% |
5歳 | 4-5-1-39 | 8.2% | 18.4% | 20.4% |
6歳 | 3-2-2-26 | 9.1% | 15.2% | 21.2% |
7歳 | 0-1-2-19 | 0% | 4.5% | 13.6% |
8歳以上 | 0-1-0-25 | 0% | 3.8% | 3.8% |
過去10年の枠番別成績を調べると、1枠の馬が5勝を挙げ、2枠は3着内率で25%を超えている。内枠の活躍が目立つ点は、注目に値するデータだと言えそうだ。〔表4〕
枠番 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1枠 | 5-1-1-12 | 26.3% | 31.6% | 36.8% |
2枠 | 1-2-2-14 | 5.3% | 15.8% | 26.3% |
3枠 | 1-1-1-17 | 5.0% | 10.0% | 15.0% |
4枠 | 1-0-1-18 | 5.0% | 5.0% | 10.0% |
5枠 | 0-1-0-19 | 0% | 5.0% | 5.0% |
6枠 | 1-1-2-16 | 5.0% | 10.0% | 20.0% |
7枠 | 0-2-1-24 | 0% | 7.4% | 11.1% |
8枠 | 1-2-2-24 | 3.4% | 10.3% | 17.2% |
過去10年の天皇賞(春)で3着以内に入った延べ30頭のうち27頭は、前走が大阪杯(GⅡ時代を含む)、阪神大賞典、日経賞、京都記念のいずれかだった。その他のレースから臨んだ馬はいまひとつの成績となっている。〔表5〕
前走のレース | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
大阪杯 | 3-3-2-10 | 16.7% | 33.3% | 44.4% |
日経賞 | 3-3-2-44 | 5.8% | 11.5% | 15.4% |
阪神大賞典 | 3-2-4-48 | 5.3% | 8.8% | 15.8% |
京都記念 | 1-1-0-3 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
その他のレース | 0-1-2-39 | 0% | 2.4% | 7.1% |
過去10年の優勝馬のうち8頭は、前走で2着以内に入っていた。2014年はフェノーメノが日経賞5着から優勝し、2012年はビートブラックが阪神大賞典10着から金星を挙げたが、基本的には前走で好走していた馬が上位に入るケースが多い。〔表6〕
前走の着順 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
---|---|---|---|---|
1着 | 5-5-4-27 | 12.2% | 24.4% | 34.1% |
2着 | 3-1-3-22 | 10.3% | 13.8% | 24.1% |
3着 | 0-2-1-19 | 0% | 9.1% | 13.6% |
4着 | 0-0-1-14 | 0% | 0% | 6.7% |
5着 | 1-0-0-13 | 7.1% | 7.1% | 7.1% |
6〜9着 | 0-2-0-34 | 0% | 5.6% | 5.6% |
10着以下 | 1-0-1-15 | 5.9% | 5.9% | 11.8% |
過去10年の天皇賞(春)では、「4走前までに重賞で単勝5番人気以内で5着または6着となっていた」という馬が2011年を除き連対している。昨年も2走前の有馬記念で「5番人気6着」だったシュヴァルグランが2着に入った。今年もそういった経歴を持っている馬が出走してきたら、注目してみるのも面白いかもしれない。〔表7〕
注記:表は横にスクロールすることができます。
年度 | 着順 | 馬名 | 該当レース | |||
---|---|---|---|---|---|---|
2008年 | 2着 | メイショウサムソン | 前走 | 産経大阪杯 | 2番人気 | 6着 |
2009年 | 2着 | アルナスライン | 2走前 | アメリカJCC | 3番人気 | 6着 |
2010年 | 1着 | ジャガーメイル | 3走前 | アルゼンチン共和国杯 | 1番人気 | 5着 |
2012年 | 1着 | ビートブラック | 2走前 | ダイヤモンドS | 4番人気 | 6着 |
2着 | トーセンジョーダン | 2走前 | 有馬記念 | 3番人気 | 5着 | |
2013年 | 1着 | フェノーメノ | 2走前 | ジャパンカップ | 4番人気 | 5着 |
2014年 | 1着 | フェノーメノ | 前走 | 日経賞 | 2番人気 | 5着 |
2015年 | 2着 | フェイムゲーム | 4走前 | オールカマー | 4番人気 | 6着 |
2016年 | 2着 | カレンミロティック | 前走 | 阪神大賞典 | 5番人気 | 6着 |
2017年 | 2着 | シュヴァルグラン | 2走前 | 有馬記念 | 5番人気 | 6着 |
過去4年の天皇賞(春)では、「2走前もしくは3走前にGⅠで2〜4着に入っていた」という馬が優勝を飾っている。その4頭は全て、該当するレースで単勝4番人気以内の支持を受けていた。〔表8〕
(浅野 靖典)
年度 | 馬名 | 該当レース | |||
---|---|---|---|---|---|
2014年 | フェノーメノ | 2走前 | 宝塚記念 | 3番人気 | 4着 |
2015年 | ゴールドシップ | 3走前 | 有馬記念 | 1番人気 | 3着 |
2016年 | キタサンブラック | 2走前 | 有馬記念 | 4番人気 | 3着 |
2017年 | キタサンブラック | 2走前 | 有馬記念 | 2番人気 | 2着 |
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