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オルフェーヴル11着(同着)と思わぬ大敗を喫した前走の天皇賞(春)から巻き返しできるのか? 現役最強馬の復活が今年の宝塚記念の最大のテーマと言えるだろう。「菊花賞、有馬記念を勝ったあとでもすぐに息が戻っていたほどの馬が、前走のレース後は疲れてグッタリとしていた。肝機能も低下していたし、あのレースで受けたダメージは心身ともに相当なものだった」と、池江泰寿調教師は前走後の様子を説明。短期放牧中だけでなく、栗東トレーニング・センターに帰厩後も宝塚記念への出走をあえて明言しなかった。「肉体面はもちろん、精神的な部分もしっかりとチェックしたうえで、出走を決定したかったからね。全兄のドリームジャーニーと同じピッチ走法で走るこの馬に、宝塚記念のコースは向いている。状態さえ整えば、勝ってもおかしくないという気持ちです」。出走馬の中で最もレース当日の気配に注目すべき存在と言えそうだ。 |
ルーラーシップ前走で香港の国際G1・クイーンエリザベスII世C(シャティン・芝2000m)を3馬身3/4差で圧勝し、悲願のG1 制覇を海外遠征で達成。直線で後続を突き放したレース内容は海外でも高い評価を受けているようだ。しかし、遠征に帯同した陣営は「輸送中にアクシデントがあって、香港に着いてからはかなり厳しい状況。気になるところがようやくほぐれてきて、『これなら、戦えるかも』という手応えを持てたのは、レース当日の朝だったからね」と、当時の状況を説明。「視覚的な強さだけでなく、精神的な強さもルーラーシップはこのレースで見せてくれた」と、同馬の成長ぶりに満足気の様子だ。フットワークの大きい馬で本質的には直線の長いコース向きのタイプ。阪神・内回りコースの芝2200mをどう克服するかがポイントとなるが、本格化した今なら、それも些細な問題なのかもしれない。 |
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エイシンフラッシュ自身にとって初の海外遠征となった前走の国際G1・ドバイワールドC(メイダン・オールウェザー2000m)は、ゲートで外の馬が暴れた影響でナーバスになり、あおり気味のスタートで道中は後方(8〜10番手)の内を追走。直線でも内を突いてじわじわと伸びたが、6着に敗退。しかし、日本馬3頭のうちで最先着を果たし、ダービー馬(2010年)としての格好はつけた。スムーズな競馬ができていれば、さらにいい結果を残せていただろう。帰国後は放牧でリフレッシュして遠征の疲れを癒し、栗東トレーニング・センターへ帰厩したのは5月中旬。レースに至るまでの調整は順調そのもので、攻め駆けするタイプということを考慮しても、追い切りで見せる動きの良さはかなり目立っている。「久々にこの馬にまたがった内田博幸騎手も好感触を掴んでくれた様子。帰国初戦ではあるけど、昨年(3着)よりもいい状態で臨めそう」と、陣営の手応えはかなりのものだ。 |
ウインバリアシオンGI の舞台は4戦して、2着、2着、5着、3着。3コーナー手前から一気に捲っていく競馬で勝ち馬から0秒5差の5着に敗れた4走前のジャパンカップ以外は、3戦すべてで3着以内を確保している。末脚勝負のタイプだけに展開に注文が付くのは確かだが、GI をいつ勝ってもおかしくない能力の持ち主であるのは誰もが認めるところだ。5月31日に栗東トレーニング・センターへ帰厩し、宝塚記念へ向けて態勢を整えているが、目立つのは調教での気配の良さ。暖かい気候のこの時季が合うのかもしれない。「2着の日経賞、3着の天皇賞(春)と、ここ2戦はともに展開に泣かされてしまったが、この馬が1番強い競馬をしたと思っている。この中間の動きはかなり力強く、宝塚記念当日までにきっちりと仕上がるだろう。好勝負になると思うので、ここでGI タイトルを獲得したい」と、松永昌博調教師は期待の高さをアピールしていた。 |
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トゥザグローリー前走の鳴尾記念(1着)は、トゥザグローリーのこれまでのイメージを大きく変えるレースとなった。「レース前はおとなしかったのでどうかと思っていたけど、だからこそ調教でも折り合いが付いていたわけだし、それならば『積極策をとってみようか』ということになった。スローペースでも行きたがるところを見せず、上手な競馬をしてくれた。あの形の競馬ができたのは、大きな収穫だったよね」と、池江泰寿調教師は前走のレース内容を評価。能力の高さは誰もが認める存在ながら、乗り難しさも抱えていた同馬の“一変”ぶりに、陣営はGI 制覇の手応えを感じている様子。「暑さに弱い馬なので、あとは気候だけ。調教は涼しい時間帯に乗っているし、厩舎内ではミストを使って暑さ対策を施している。レース当日が暑くならないことを祈るだけだね」。これをクリアできれば、悲願のGI 初制覇が見えてきそうだ。 |
ビートブラック14番人気という低評価でのGI 初制覇となった前走の天皇賞(春)。「過去にないくらいの状態に仕上がっていたので、石橋脩騎手には積極的な競馬をしてほしいと指示。勝負どころで逃げ馬を捕らえてロングスパートをかけたジョッキーの好判断もあったが、JRAレコード(3分13秒4)に差のない勝ち時計(3分13秒8)だからね。強い競馬だったと思っている」と、中村均調教師は前走のレース内容を高く評価していた。過去最高と陣営が自負する状態面が最大の勝因かもしれないが、良馬場で競馬ができたことも大きかった。「前走の1週間後には、疲れもすっかり取れました。控えてもこの馬の持ち味が出ないので、今度も積極的な競馬になると思う。この距離も対応できると思っているが、問題は梅雨の時季で天候がどうかということ。馬場が悪いと、まるで力を出せないからね。ぜひとも、良馬場で競馬をさせてやりたい」。天気予報が気になる週末となりそうだ。 |
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アーネストリー昨年の宝塚記念の覇者で、秋初戦の産経賞オールカマーも快勝している実績馬だが、その後の4戦は、天皇賞(秋)14着、有馬記念10着、今年に入って産経大阪杯6着、鳴尾記念5着と、好結果を残すことができなかった。しかし、佐々木晶三調教師は「同じ敗戦でも昨秋の2戦と今年の2戦では意味合いが違う。昨秋は状態そのものがひと息という感じだったが、現在はそうじゃない。特に前走の鳴尾記念は、この馬らしい張りのある馬体に戻っていたしね。スローな流れで後方追走と厳しい展開になったけど、直線だけの競馬だったから、疲れも残らなかった。上昇気流に乗ると馬がどんどん良化していくタイプで、使ったあとの飼葉食いもいい。自分の競馬さえできれば、巻き返せる状態にはあると思っているんだよ」と、前向きな発言をしていた。この馬本来の正攻法の競馬ができれば、連覇も十分にあると見てもいいだろう。 |
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| 上半期のGI シリーズは、この宝塚記念がラストを飾る。日本の競馬で最も層の厚い芝の中距離を舞台にしたGI ということもあり、さらにステイヤーナンバー1決定戦の天皇賞(春)やヴィクトリアマイル・安田記念などのマイルGI から参戦する馬も多く、近年はバラエティに富んだメンバー構成となっている。日ごとに気温が上昇する一方、梅雨入りして不安定な天候が続き、難しい調整が強いられる一戦だが、今年の登録馬も上半期のグランプリの看板に恥じない素晴らしい顔ぶれが揃った。状態面をチェックしながら、出走予定馬を紹介していきたい。 堂々のファン投票1位に輝いたのは、昨年の三冠馬オルフェーヴル(牡4・池江泰寿)。だが、その視界は決して良好ではない。前走の天皇賞(春)では単勝オッズ1.3倍という圧倒的な支持に応えられず、見せ場がまるでないまま、11着に大敗。敗因は展開ではなく、状態面にあったと陣営は見ているようで、それだけに宝塚記念出走に関しても慎重な姿勢を貫いている。「ファン投票1位の支持に応えたいし、出走させたい気持ちは強い。しかし、これだけの馬を中途半端な状態で出走させられない。しっかりと状態を見極めて、結論を出します」と、池江泰寿調教師は語っていた。 悲願のG1 制覇を異国の地・香港で決めたルーラーシップ(牡5・角居勝彦)。日本を出国してからの調整は決して万全と言えるものではなかったようで、それだけにレース当日まで懸命な調整を続け、見事に国際G1・クイーンエリザベスII世C(シャティン・芝2000m) を勝ってみせた陣営の手腕は高く評価したいところで、“世界のK.Sumii”を改めて感じさせたレースだった。もっとも潜在能力の高さは同じ角居厩舎に所属していたヴィクトワールピサ(2010年の皐月賞・有馬記念と2011年の国際G1・ドバイワールドC優勝)と同等の扱いを受けていたほどで、これくらいの活躍はしても当然と言うべき馬。宝塚記念を制し、一気に現役最強馬の称号を手に入れたいところだろう。 一昨年のダービー馬エイシンフラッシュ(牡5・藤原英昭)は、今年初戦をメイダン競馬場で行われた国際G1・ドバイワールドC(オールウェザー2000m)で迎えた。結果は6着と残念な結果に終わったが、この馬の馬体の素晴らしさは、遠征先のドバイでも評判になっていたという。今春の香港で最高の結果を出したルーラーシップは、2度目の海外遠征でG1制覇を成し遂げた。この馬も遠征慣れしてくれば、海外で十分に通用する能力があるはずだ。帰国後は短期放牧を経て5月中旬に栗東トレーニング・センターへ帰厩、その後はこのレースを目標に順調に調整されている。今年は海外遠征の1戦しか消化しておらず、自身の状態はかなりフレッシュ。これは他馬と比べて、大きなアドバンテージになるだろう。 ウインバリアシオン(牡4・松永昌博)は、前々走の日経賞が2着、前走の天皇賞(春)が3着と、いずれも逃げ・先行馬が押し切るという展開に泣いた印象が強く、能力で負けたというレースではなかった。父ハーツクライは4歳を迎えて急激に馬体が良化し、宝塚記念とジャパンカップで2着に入ったあと、暮れの有馬記念で悲願のGI タイトルを手に入れた。父と同様に日本ダービー2着のこの馬も父と同じような成長曲線を描いており、競走馬としてピークを迎えるのはこれからだろう。重賞のタイトルは3歳春の青葉賞のみという実績は今回のメンバーの中では見劣るが、潜在能力は決して引けを取らないはず。 トゥザグローリー(牡5・池江泰寿)は、前走の鳴尾記念を快勝し、重賞5勝目をマーク。残る目標は、GI 制覇のみというところまできている。昨年の宝塚記念は13着に大敗。その敗因は、稍重馬場でスローな流れになって出入りの激しい消耗戦となった天皇賞(春)で13着と大敗を喫したレースの疲れが抜け切らず、さらに夏負けによって本調子を欠いたため。今年は予定していたドバイ遠征を取り止め、天皇賞(春)も見送って、前哨戦の鳴尾記念を快勝してここに臨む。臨戦過程は昨年よりもずっと順調と言えるが、今年もレース当日のパドックや返し馬で状態を確認する必要はあるだろう。能力がGI 級なのは誰もが認めるところ。相手関係よりも気候との戦いだと陣営は考えているようだ。 ビートブラック(牡5・中村均)は、前走の天皇賞(春)で14番人気の低評価を覆して、GI 初制覇を達成。これまでの実績から下位人気に甘んじたが、レース週の追い切りで抜群の動きを披露したように大幅な体調の良化に加え、苦手としている道悪競馬にならず、絶好馬場で3分13秒8という高速決着になったのが勝因と言えるだろう。今回は梅雨の時季ということもあって、陣営は天候と馬場状態が好走の鍵を握ると考えている様子で、良馬場なら天皇賞馬の貫禄を見せ付けるシーンがみられるかもしれない。 アーネストリー(牡7・佐々木晶三)は、昨年の宝塚記念で6番人気ながら、ブエナビスタ(2着)、エイシンフラッシュ(3着)、ローズキングダム(4着)を含む5頭のGI ホースをまとめて負かし、2分10秒1のコースレコードでGI 初制覇を成し遂げた実力馬。前走の鳴尾記念では、1枠1番からのスタートで控える競馬を試みたが、予定していた位置取りよりも後方になってしまい、スローな流れで4コーナー9番手から上がり3ハロン33秒3(推定)の末脚を繰り出したものの、5着まで追い上げるのが精一杯。展開が向かなかったと考えるのが妥当だろう。天皇賞(秋)14着など好結果を残せなかった昨秋とは違い、今年は休み明けを2度叩いて好調時の動きを取り戻している。2番手追走から抜け出した昨年のような積極的な競馬ができれば、連覇の可能性も十分にありそう。 予定していた安田記念への出走が叶わなかったショウナンマイティ(牡4・梅田智之)は、前走の鳴尾記念で勝ち馬のトゥザグローリーから半馬身差の2着に敗れたが、メンバー中最速となる上がり3ハロン32秒9(推定)の豪脚を披露。前々走の産経大阪杯でフェデラリスト(2着)、トーセンジョーダン(3着)、ローズキングダム(4着)といった強豪馬を直線一気の末脚で差し切った実力が本物であったことを証明するとともに、GI でも通用する手応えを得た一戦だった。一線級のメンバーが集結したこの宝塚記念で自慢の末脚がどこまで通用するのか、注目したい。 ホエールキャプチャ(牝4・田中清隆)は、前走のヴィクトリアマイルで悲願のGI 初制覇を果たした。牝馬限定のGI では〔1・2・2・1〕と堅実な成績を挙げており、3着以内に入れなかったのは古馬と初めて対戦した昨年のエリザベス女王杯(4着)のみ。牡馬相手の競馬は2歳時のオープン特別・芙蓉S(中山・芝1600m、1着)以来で、能力の比較が重要になってきそうだが、前走でGI を優勝した勢いは侮れない。ここを勝てば、歴史に残る名牝として名を刻むことになるだろう。 フェデラリスト(牡5・田中剛)は、昨年の10月から今年2月にかけて重賞2勝を含む4連勝をマークした上がり馬。前走の産経大阪杯では、好位の3番手を追走し、直線に入って残り200m地点から追い出して抜け出したところを勝ち馬のショウナンマイティの強襲にあって2着に敗れた。連勝はストップしたが、レース内容は“負けて、なお強し”と言えるもの。中山金杯、中山記念と坂のある小回りコースで好結果を出してきているのは見逃せないポイントだ。GI 初挑戦で初制覇を成し遂げることができるか、その戦いぶりに大きな注目が集まる。 3歳馬マウントシャスタ(牡3・池江泰寿)の出走も話題を集めそう。まだ重賞の勝ち鞍はないが、同じ池江厩舎の皐月賞2着馬ワールドエースと同格の評価を受けている素質馬で、53キロの斤量も魅力。過去10年の宝塚記念で好成績を挙げた3歳馬は2002年3着のローエングリンのみだが、この馬ならと思わせる未知の魅力を持っている。 |
| (松浪大樹) |
