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トランセンド「前走のジャパンカップダートを勝ったあとは、放牧に出さずに自厩舎で調整してきました。負荷をかけて乗り込みを進めていますので、仕上がり面に不安はありません。今回も王者として受けて立つ立場にありますが、風格も備わってきたので、このレースの連覇を達成して、ドバイワールドカップへ向かいたいですね」と、陣営は同馬に全幅の信頼を寄せている様子。このフェブラリーSでは過去に幾多の名馬が連覇に挑戦したが、まだ達成した馬は1頭も出ておらず、強豪がひしめくダートのマイルGI で連覇を飾るのは至難の業と言える。しかし、目下充実一途のこの馬なら、それも実現可能だろう。現在、GI・JpnI 6戦連続連対中(4勝2着2回)のチャンピオンホースが、フェブラリーS初の2年連続優勝を飾り、再び世界の大舞台へ羽ばたこうとしている。 |
エスポワールシチー佐藤哲三騎手が落馬負傷のため、今回は名手・武豊ジョッキーを鞍上に迎えて、2度目のフェブラリーS制覇を目指す。「前走の平安S(2着)は、逃げた馬をあれ以上追いかけるわけにもいきませんからね。この馬も好時計(1分48秒3)で走っているので、勝った馬(ヒラボクキング)が強かったということでしょう。幸い疲れもなく、好調子をキープしています。東京のダート1600mは、実績(2010年フェブラリーS優勝)から問題ありません。もう1度このレースを制して、ダート界の頂点に返り咲きたいものです」と、厩舎スタッフは看板ホースの調整に余念がない。2009年春のJpnI・かしわ記念(船橋・ダート1600m)から翌年の同レースにかけてGI・JpnI 5連勝 を達成し、2009年・2010年と2年連続でJRA賞最優秀ダートホースに輝いた実績馬が、新コンビで王座奪回に臨む。 |
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ワンダーアキュート「前走のGI・東京大賞典(大井・ダート2000m、2着)は惜しいレースでしたが、強い相手と接戦を演じることができたので、収穫の大きな一戦でした。それに、以前は関東圏まで長距離輸送するとイレ込むことがありましたが、ホライゾネットを着用した前走は落ち着きがありましたからね。その点でも、次走につながる内容だったと思います。直線が長い東京コースなら1600mでも距離に不足はないはずで、ここはビッグタイトル獲得のチャンスではないでしょうか」と、厩舎サイドのムードは盛り上がってきた。前々走のジャパンカップダートでは、スタート直後につまずいて後方からの競馬になったが、直線で内を鋭く伸びて2着に好走。そして、前走の東京大賞典でも地方交流重賞18勝目を挙げた強豪スマートファルコンとデッドヒートの末、ハナ差の接戦を演じた実力は本物だ。悲願のGI 制覇成るか、注目したい。 |
シルクフォーチュン「前走の根岸Sは落ち着いた流れになりましたが、直線では目の覚めるような伸び脚を見せてくれましたね。非常に強い勝ち方だったと思います。あの内容なら、1600mにも対応は可能でしょう。昨年のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯(東京・ダート1600mで開催)3着時よりも確実にパワーアップしていますよ。今なら、GI でもチャンスがあるはず」と、スタッフはここにきての充実ぶりを強調していた。さらに「前走時の馬体重は470キロでしたが、太目感はまったく感じられず、ようやく馬体に実が入ってきた感じですね」と、肉体面での成長もアピールしていた。4コーナーを14番手で回り、そこから前の馬たちをすべて抜き去った根岸Sでの切れ味は圧巻。目下の勢いを活かして、待望のGI 初制覇に挑む。 |
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ダノンカモン「前走の根岸S(5着)は、約2か月ぶりの実戦に加えて、道中で砂を被る形になりましたからね。それでも大きくは負けていないので、本番につながるレース内容だったと思います」と、陣営に悲観したムードは見られない。さらに「叩いた今回は状態面の上積みが見込め、東京・ダート1600mは昨秋のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯で2着に好走した舞台。スムーズなレースができれば、巻き返しは可能でしょう」と、上位進出に大きな期待を抱いている。まだ重賞のタイトルを獲得していないだけに、今回の豪華メンバーに入ると実績面では少々見劣るが、相手なりに走れるタイプ。東京・ダート1600mは〔1・3・1・1〕と堅実な成績を挙げており、昨秋のマイルチャンピオンシップ南部杯で王者トランセンドと大接戦を演じた実力馬が巻き返しを狙う。 |
テスタマッタ「前走の根岸S(3着)は道中で幾らか掛かった分、最後の伸び脚に影響した感じですね。勝ち馬のシルクフォーチュン(57キロ)と2着馬トウショウカズン(56キロ)はこの馬よりも斤量が軽く、58キロの斤量を背負っていたことを考えれば、レース内容は見どころ十分で、収穫のある一戦でした。この中間は疲れもなく、順調に乗り込んでいます。実戦タイプの馬で、調教での動きはあまり目立ちませんが、状態は引き続き良好です。うまく折り合いがついて末脚を活かせる形になれば、今回のメンバーに入っても差はないでしょう」と、陣営は虎視眈々とGI 初制覇を狙っている様子。2010年のフェブラリーSでは、ダートGI・JpnI 3勝の強豪サクセスブロッケン(3着)に3馬身半先着を果たして2着に好走した実績があり、コース、距離ともに問題はないはず。力まずにリラックスして前半を乗り切ることができれば、直線で爆発的な末脚を発揮できる1頭だ。 |
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グランプリボス芝のGI レース2勝(2010年の朝日杯フューチュリティS、昨年のNHKマイルC)を誇る名マイラー。初のダートGI 挑戦で並み居る強豪を相手にどう戦うのか? 大きな注目を集めてのエントリーとなる。「前走の阪神C(2着)では、ようやくこの馬らしい末脚を発揮してくれましたね。その後は放牧でリフレッシュを図り、疲れも解消しました。1月下旬に帰厩してからも順調に調教を消化していますので、態勢は十分整いそうです。普段の調教時でもパワフルな走りを見せている馬だけに、ダートでさらに良さが出る可能性もあるはずですよ。今回はダート界の強豪が揃いましたが、初のダート参戦でこの馬の新味が出るか楽しみにしています」と、スタッフは意欲的だ。新たなパートナーとなる内田博幸騎手もすでに調教で同馬に騎乗して感触を確かめている。芝とダートのマイルGI でともに頂点に立てるか、大きな期待が懸かる。 |
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| JRAのダート重賞競走では一番古い歴史を持つ『フェブラリーS』は、1997年にGI レースに格上げされ今日に至っている。また、近年は3月下旬にUAEで行われるドバイ国際招待競走へのステップレースとしても重要な位置を占めるようになった。昨年の優勝馬トランセンドは次走で国際G1・ドバイワールドカップ(メイダン・オールウェザー2000m)に挑戦し、優勝馬ヴィクトワールピサから半馬身差の2着に好走。見事、日本馬の上位独占劇を演じた。今年もダート巧者が早春の府中にズラリと集結。ダートの王者に輝き、世界へ羽ばたくのはどの馬か? 国内は勿論、海外からも大きな注目を集める激戦を見逃せない。 昨年は、フェブラリーS、JpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯(東京・ダート1600mで開催)、ジャパンカップダートを優勝、ドバイワールドカップで2着に大健闘し、JpnI・JBCクラシック(大井・ダート2000m)でも2着と、GI・JpnI を5戦して3勝2着2回の好成績を収め、JRA賞最優秀ダートホースに選出されたトランセンド(牡6・安田隆行)。今年もここを初戦に選び、更なる飛躍を期している。前走のジャパンカップダートでは、エスポワールシチー(3着)を突き放し、2着馬ワンダーアキュートに2馬身差をつける快勝。うまく先手を奪えたことが最大の勝因だが、マークを受ける立場での圧勝はトップホースの貫禄を示すのには十分な内容だった。その後はこのレースを目標に熱心な乗り込みを消化しており、態勢は万全の様子。連覇へ向けて、視界は良好だ。 エスポワールシチー(牡7・安達昭夫)は、2009年、2010年のJRA賞最優秀ダートホースに選出された実績を誇る現役屈指のダート巧者。これまで、ダートのレースでは21戦して12勝を記録。2010年のフェブラリーSでは、2着馬テスタマッタを2馬身半突き放す鮮やかな勝利を収めている。昨年は、JpnIII・名古屋大賞典(名古屋・ダート1900m)、みやこSと重賞2勝をマークしたが、帝王賞(大井・ダート2000m)2着、マイルチャンピオンシップ南部杯4着、ジャパンカップダート3着と、GI・JpnI 制覇は果たせなかった。今季の初戦に選んだ前走の平安Sは58キロの斤量を背負って2着に敗れたが、勝ち馬のヒラボクキングが56キロ、3着馬シルクシュナイダーが55キロであったことを思えば、内容は悪くない。軽快かつパワフルな先行力が戻った今なら、2度目のフェブラリーS制覇で再び頂点に立つことも難しくないだろう。 2009年のシリウスSと武蔵野S、そして昨年の東海S(京都・ダート1900mで開催)と、重賞3勝を誇るワンダーアキュート(牡6・佐藤正雄)。息の長い活躍が目立つ1頭だが、前々走のジャパンカップダートでは、ゴール手前でエスポワールシチーを交わして2着に好走。大幅な地力強化をアピールした。昨年から国際レースとなった前走のGI・東京大賞典(大井・ダート2000m)では、重賞7連勝中の強豪スマートファルコンと大接戦を演じている。長い写真判定の末、ハナ差及ばず2着に敗れたが、内容としては勝ちに等しいもので、ジャパンカップダートの好走が本物であることを証明した。ダート1800m〜2000mで全9勝中7勝を挙げているが、今回の東京・ダート1600mでも前述の武蔵野Sを優勝した実績がある。一段と力をつけた今なら、強豪を倒して新たなダートチャンピオンの座に就くシーンも期待できそうだ。 前哨戦の根岸Sを上がり3ハロン34秒9(推定)の末脚で制し、勢いに乗るシルクフォーチュン(牡6・藤沢則雄)。昨年のプロキオンS(京都・ダート1400mで開催)に次ぐ2度目の重賞制覇となったが、スローペースを鮮やかに差し切り、2着馬トウショウカズンに1馬身半差をつけた内容は見事だった。これまでのレースぶりからも、ベストはダートの1400mと思えるが、東京・ダート1600mで行われた昨秋のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯で勝ち馬のトランセンドから0秒1差の3着に好走した実績があり、対応は十分に可能だろう。父ゴールドアリュールは、中山・ダート1800mで開催された2003年のフェブラリーSを含む、GI・JpnI 4勝を挙げたダート界の強豪。一段と切れ味に磨きをかけた末脚で、GI 初制覇を目指す。 ダノンカモン(牡6・池江泰寿)は、昨秋のJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯で優勝馬トランセンドと大接戦を演じ、同タイムの2着に好走した実績が光る。まだ重賞のタイトルは獲得していないが、ダートのオープン特別はすでに3勝。やや勝ち味に遅い一面はあるものの、安定感は抜群だ。1番人気に支持された前走の根岸Sでは、本来の素軽いフットワークが見られず5着に敗れたが、勝ち馬のシルクフォーチュンとのタイム差は0秒3。ステップレースとしては、悲観する内容ではなかった。今回は使われての上積みが見込め、東京・ダート1600mでは前述のマイルチャンピオンシップ南部杯および一昨年・昨年の武蔵野Sで2年連続2着の実績があり、適性は十分。悲願の重賞初制覇がGI レースとなるかもしれない。 テスタマッタ(牡6・村山明)は、3歳夏に大井競馬場で行われたJpnI・ジャパンダートダービー(ダート2000m)を優勝。また、2010年のフェブラリーSで勝ち馬のエスポワールシチーから0秒4差の2着に好走している。昨年は阪神・ダート1800mに舞台を移して行われたマーチSで豪快な末脚を繰り出して快勝、暮れのGI・東京大賞典でも3着の実績を残している。折り合い面に課題がある馬で安定感に欠けるが、展開が嵌った際の末脚は一級品だ。前走の根岸Sは、一気の距離短縮にも対応して3着に健闘。今季は体調の良さも目立つだけに、レースの流れにうまく乗って脚を溜めることができれば、身上の豪快な差し脚が炸裂するシーンを見られるかもしれない。 グランプリボス(牡4・矢作芳人)は、一昨年の朝日杯フューチュリティSおよび昨年のNHKマイルCの覇者。芝のGI ホースがダートの強豪を相手にどんな戦いを演じるのか、今年のフェブラリーSの見どころのひとつになっている。昨年6月のイギリス遠征後は本来の姿を取り戻すのにやや時間を要したが、復帰3戦目となった前走の阪神Cでは、勝ち馬からハナ差の2着に好走。GI・2勝馬が復活劇を演じてのダート界進出だけに、魅力は大きい。母ロージーミストは、阪神・ダート1200mで行われたデビュー2戦目の新馬を逃げ切っており、血統的にダートで更に持ち味が活きる可能性も秘めている。ここで好走できれば、今後の選択肢が大きく増えるだけに、楽しみな一戦となった。 ヤマニンキングリー(牡7・河内洋)は、2008年の中日新聞杯・2009年の札幌記念と、芝の重賞で2勝。名牝ブエナビスタをクビ差の2着に退けた札幌記念は、同馬のベストパフォーマンスと言えるレースで、芝でもGI 級の能力を秘めた1頭である。そして、ダート初挑戦となった昨秋のシリウスSで2着馬を2馬身半突き放す圧勝劇を演じたように、ダートに対する適性も高い馬。ここ2戦はダートのGI に挑戦して、ジャパンカップダート7着、東京大賞典6着と、あとひと息の成績に終わっているが、ダートの強豪メンバーに混じって厳しいレースをした経験を活かし、虎視眈々と上位進出を狙っている。 |
| (片野昌一) |
