コラム

※太字はドバイワールドカップ出走予定馬
※3月23日(木曜)時点での情報を基に作成

海外評論家が見るドバイワールドカップ
「アロゲートを筆頭とする“チームアメリカ“が”チーム日本“と相まみえる」

世界最高峰の高額賞金競走として知られるドバイワールドカップ(G1)。これまで行われた21回のうち実に10回において、赤と白と青で構成されたアメリカの国旗がセンターポールに翻っている。そして今年、アメリカは、おそらくは過去最強の布陣で、あのゴールドのトロフィーを獲りにいこうとしている。

アメリカからはるばるドバイに渡った代表団は、「ロンジンワールドベストレースホースランキング」世界首位のアロゲート(牡4歳)だけでなく、さらに4頭の精鋭によって構成されている。アロゲートと同じB.バファートの管理馬で、G1を2勝しているだけでなく、2016年のドバイワールドカップで3着に入った実績のあるホッパーチュニティ(牡6歳)。三冠馬アメリカンファラオに後塵を浴びせたこともあるキーンアイス(牡5歳)。昨年のケンタッキーダービー(G1、アメリカ)3着馬ガンランナー(牡4歳)。そして、今年1月に行われた総賞金1200万ドルの第1回ペガサスワールドカップ(G1、アメリカ)で、アロゲートの3着となったネオリシック(牡4歳)という、総勢5頭である。

  • 2016年BCクラシック(優勝:アロゲート、左)

  • アロゲート(3月23日撮影)

メイダン競馬場のダート2000mを舞台として行われる、総賞金1000万ドルのドバイワールドカップの、今年の出走メンバーを見ると、それはあたかも、アメリカと日本の2か国による対抗戦のような様相を呈している。なぜなら、日本もまた確固たる実績のある4頭を送り込んでいるからだ。

東京競馬場のダート1600mを舞台としたフェブラリーS(GI)を勝っての参戦となる、吉田勝己氏所有のゴールドドリーム(牡4歳)。エリートレベルのレースを制しているゆえ、有力馬の1頭としての参戦となるのが、アポロサラブレッドクラブ所有のアポロケンタッキー(牡5歳)だ。同馬は、昨年の12月29日に大井競馬場で行われた、ドバイワールドカップと同じ距離の東京大賞典(GI)の勝ち馬である。ただし、その時の馬場が、ドバイではまず見られることのない、重馬場であったという事実は、留意すべき点かもしれない。

  • ゴールドドリーム(3月22日撮影)

  • アポロケンタッキー(3月23日撮影)

そして、前田幸治氏が所有するアウォーディー(牡7歳)と、前田葉子氏が所有するラニ(牡4歳)。この2頭は、兄と弟である。弟のラニは、昨年3月にメイダンで行われたUAEダービー(G2)の勝ち馬である。だが、その後は勝ち星をつかんでいない。兄のアウォーディーは、前走の東京大賞典こそ2着に敗れたが、ここに書き記すべき数々の実績を積み重ねてきている。同馬は2015年から2016年にかけて、JBCクラシック(JpnI・川崎)を含めて6連勝。その後、中京競馬場で行われたチャンピオンズカップ(GI)で、サウンドトゥルー(1着)からクビ差の2着となっているが、ここではアポロケンタッキー(5着)、ラニ(9着)、ゴールドドリーム(12着)に後塵をあびせている。

  • アウォーディー(3月22日撮影)

  • ラニ(3月22日撮影)

この原稿を書いている段階で主催者のドバイレーシングクラブから得た最新情報では、アメリカ・日本の2か国以外が送り込む馬の中で、最も注目すべき存在は、シェイク・モハメド・ビン・ハリファ・アル・マクトゥームが所有するムブタヒージ(牡5歳)になりそうだ。昨年のドバイワールドカップでカリフォルニアクローム(1着)の2着だった馬である。そのレースを含めて、実はこの父ドバウィの牡馬は、アメリカ・ドバイの5つのG1で入着を果たしているものの、2年前にメイダンでUAEダービーを勝って以来、9戦にわたって勝ち星から遠ざかっているのである。

近走の成績は全く振るわなかったにもかかわらず、3月4日にメイダンで行われた、ドバイワールドカップデーに組まれた各競走の前哨戦が集められた「スーパーサタデー」で、シェイク・ハムダン・ビン・モハメド・アル・マクトゥームの服色を背に、アル・マクトゥームチャレンジ ラウンド3(G1)を逃げ切ったのが、ロングリバー(牡7歳)である。ただし、かつてはゴドルフィンの所有馬としてアメリカで競馬をしていた時期もあるこの馬が、「スーパーサタデー」で破った相手は、それほど水準が高くなかったと見られている。

そのアル・マクトゥームチャレンジ ラウンド3でロングリバーの2着となったのが、ドバイを拠点しているスペシャルファイター(牡6歳)だ。同馬にとってそのレースは、昨年のドバイワールドカップで4着に入って以来、ほぼ1年ぶりのレースであった。イギリスで競走生活をスタートさせたスペシャルファイターにとって、昨年のアル・マクトゥームチャレンジ ラウンド3で挙げた勝利が、これまでで最も意義のある勝利である。

  • 2017年アル・マクトゥームチャレンジ ラウンド3
    (優勝:ロングリバー)

  • 死角が見当たらないアロゲート
    (写真は2016年BCクラシック)

サウジアラビアの王族カーリッド・アブデュラー殿下の競馬組織ジャドモントファームズが所有するアロゲートが、ここ3戦で示した競馬を見ると、今年のドバイワールドカップ出走予定馬の中に、これに対抗しうる馬は皆無であると言っても、それは少しの誇張もない表現である。

がっちりした馬体を誇る父アンブライドルズソングの芦毛馬は、サラトガ競馬場(トラヴァーズS)とガルフストリームパーク競馬場(ペガサスワールドカップ)でトラックレコードを樹立。そして、そのレースにおけるレーティング(134ポンド)が2016年度の世界一となったブリーダーズカップクラシック(G1、アメリカ)で、カリフォルニアクロームを撃破している。この3戦のうち2戦は、ドバイワールドカップと同じ、距離2000mのレースであった。

目をみはるほど豊かなスピードを持つアロゲートは、逃げ切ることも可能だし、好位から楽に抜け出す競馬もできよう。遠征競馬にも強く、そして、初めての競馬場でも真価を発揮できる馬であることを、彼は既に実証済みである。彼が彼の競馬をすれば、彼と騎手のマイク・スミスは、後続を引き離してゴールインすることになるはずである。

  • 文:Michele MacDonald
  • 訳:合田直弘

Michele MacDonald(ミシェル・マクドナルド)

ミシェル・マクドナルドは、サラブレッドメディアの分野で、国際的に様々な役割を担ってきている。編集者、ライター、カメラマンとして活躍する一方、競馬場の広報担当を務めた経験もあり、また、競走馬の生産・所有も手掛けている。現在は、レーシングポストのアメリカ通信員の任にあり、また、ドバイのアルアディヤットやアルカーヤル、南アフリカを拠点とする国際競馬雑誌などにも、コラムニストとして、カメラマンとして参画している。

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