コラム

※太字はドバイシーマクラシック出走予定馬
※3月23日(木曜)時点での情報を基に作成

海外評論家が見るドバイシーマクラシック
「主役は連覇を目指すポストポンド」

2016年の「ワールドトップ100レース」の第9位にランクインしているのが、ドバイシーマクラシック(G1)だ。ちなみに、順位にして1つ上の、第7位タイが凱旋門賞(G1・フランス)で、つまりは凱旋門賞とも遜色のない水準にあるのがドバイシーマクラシックであり、数ある国際競走の中でも主要な位置付けを獲得していると言える。そしてこのレースにおいて、大きな影響力を発揮してきたのが、日本である。

その皮切りとなったのが、2001年(当時はG2)だった。社台レースホースが所有するステイゴールドが、ゴドルフィンが所有するワールドチャンピオンのファンタスティックライトを破り、輝かしい勝利を得たのである。これを含めて、現在では総賞金600万ドルを誇るこのレースを、日本は3度制している。社台レースホースが所有したハーツクライ(2006年)と、サンデーレーシングが所有したジェンティルドンナ(2014年)が、残る2頭の優勝馬である。昨年は、同じくサンデーレーシングが所有するドゥラメンテが、発走前に落鉄して、激しい入れ込みを見せながらも、2着に健闘している。

そのドゥラメンテを破って優勝したのが、シェイク・モハメド・オバイド・アル・マクトゥーム(オバイド殿下)が所有するポストポンド(牡6歳)で、彼がこのレースの勝者にふさわしい馬であることは、その後に彼がイギリスでさらに2つのG1勝ち(コロネーションC、英インターナショナルS)を積み重ねたことからも明らかである。

  • 2016年ドバイシーマクラシック
    (優勝:ポストポンド、右)

  • ポストポンド(3月23日撮影)

3月4日にメイダンで行われたドバイシティーオブゴールド(G2)で、ポストポンドはゴドルフィンが所有するプライズマネー(せん4歳)にクビ差及ばぬ2着に敗れているが、直線コースで、勝ち馬プライズマネーに進路をふさがれる局面があったばかりか、それ以外のゴドルフィン勢にも直線で不利を受けている。ポストポンドは3月25日、ドバイシーマクラシックでは歴代で初めてとなる連覇に挑む。R.ヴェリアン(イギリス)が管理する、この父ドバウィの6歳牡馬は、強固な本命馬と言えそうだ。

頭数は多くないものの、完成されたサラブレッドたちが集うのが今年のシーマクラシックである。

  • ハイランドリール(3月23日撮影)

  • セブンスヘブン(3月23日撮影)

まずは、本番で再度ポストポンド撃破を狙うプライズマネー。そして、昨年のブリーダーズカップターフ(アメリカ)を含めてG1・4勝というハイランドリール(牡5歳)と、昨年のヨークシャーオークス(G1・イギリス)勝ち馬セブンスヘブン(牝4歳)という、クールモア(名義上は、D.スミス、J.マグナー、M.テイバーの共同所有)の2頭。ただし両馬とも、このドバイシーマクラシックが2017年の始動戦となる。

ゴドルフィンが共同馬主に名を連ねるジャックホブス(牡5歳)も、管理するJ.ゴスデン(イギリス)のもとで、順調に調整が積まれていると伝えられている。2015年の愛ダービー馬(G1・アイルランド)で、昨年10月15日の英チャンピオンS(G1・イギリス)では、ヨーロッパ3歳牡馬チャンピオン(2016年度カルティエ賞・最優秀3歳牡馬)のアルマンゾル(1着)、凱旋門賞を制したヨーロッパ古馬チャンピオン(2016年度カルティエ賞・最優秀古馬)のファウンド(2着)に続く3着となっているのがジャックホブスである。ゴスデン調教師は、2017年の同馬に大きな期待を寄せている。

今年のドバイシーマクラシックに日本から臨むのは、吉田照哉氏所有のサウンズオブアース(牡6歳、栗東・藤岡健一厩舎)1頭である。2011年のドバイワールドカップ(G1)勝ち馬ヴィクトワールピサと同じ、ネオユニヴァースの産駒だ。

  • ジャックホブス(3月23日撮影)

  • サウンズオブアース(3月23日撮影)

最上級のレースにおける戦いを長く続けているのがサウンズオブアースである。昨年のジャパンカップ(GI)では、2016年度JRA賞年度代表馬キタサンブラックの2着となっているほか、2015年の有馬記念(GI)でも、2014年の菊花賞(GI)でも2着となっている。ところが、藤岡健一調教師が管理するこの牡馬は、重賞競走において1着でゴールに入ったことがないのである。ここでそれを達成するのは、たやすいことではないかもしれない。

サウンズオブアースだけでなく、このレースの全てのライバルから見て、難攻不落の強敵がポストポンドであろうと思う。直線で進路がなくなる局面がありながら、勇敢に走って僅差の2着となったドバイシティーオブゴールドを見て、なおさらその感を強くしている。

これまでの競馬から判断して、ポストポンドはおそらく、道中は先行する馬を前に見る位置につけ、そこから抜け出す競馬をするであろう。もしそうなると予想すれば、A.オブライエン調教師(アイルランド)はハイランドリールに、ブリーダーズカップターフの時と同様の戦術を授けるのではないだろうか。すなわち、この父ガリレオの牡馬が、逃げるという手に出るのではないかと思うのである。

  • 2016年英インターナショナルS
    (左:ポストポンド1着、右:ハイランドリール2着)

  • 2016年BCターフ
    (優勝:ハイランドリール)

ゴドルフィン勢の中から彼(ハイランドリール)に競りかけていく馬が出るかもしれない。また、昨年のドバイシーマクラシックで、彼は逃げて4着に敗れている。しかし、それでもなお再び逃げの手に出た時、ハイランドリールポストポンドにとっても危険な存在になる予感がする。

  • 文:Michele MacDonald
  • 訳:合田直弘

Michele MacDonald(ミシェル・マクドナルド)

ミシェル・マクドナルドは、サラブレッドメディアの分野で、国際的に様々な役割を担ってきている。編集者、ライター、カメラマンとして活躍する一方、競馬場の広報担当を務めた経験もあり、また、競走馬の生産・所有も手掛けている。現在は、レーシングポストのアメリカ通信員の任にあり、また、ドバイのアルアディヤットやアルカーヤル、南アフリカを拠点とする国際競馬雑誌などにも、コラムニストとして、カメラマンとして参画している。

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