海外競馬発売

ベルモントステークス(G1)

フランス シャンティイ競馬場 2400m(芝)3歳以上 牡・牝

  • 発売開始時刻日本時間10月1日(日曜)10時00分

  • 発走予定時刻日本時間10月1日(日曜)23時05分

コラム

太字は凱旋門賞出走予定馬
9月29日(金曜)時点での情報を基に作成

海外評論家が見る凱旋門賞、サトノダイヤモンドの変わり身はあるか

これまで数々の栄冠を手にしているイギリス調教馬エネイブル(牝3歳)が、シャンティイの凱旋門賞(G1)をも手中にする大きなチャンスを迎えているように見えるが、しかし、日本からの遠征馬サトノダイヤモンド(牡4歳)を過小評価することは、賢いとは言えない考え方であるように思う。フォワ賞(G2)での同馬(4着)は、期待を裏切ったかもしれないが、10月1日の凱旋門賞では、前走と違った仕事をする可能性があるからだ。

ヨーロッパ最高賞金競走の凱旋門賞は、過去6年のうち5年において牝馬が勝利しており、牝馬が躍動するレースとなっている。ジョン・ゴスデン厩舎のエネイブルは、4つのG1を制しており、その4戦の平均着差は、驚くべきことに5馬身である。この父ナサニエルの牝馬は、イギリスとアイルランドのオークス(共にG1)、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1)、そして最も近走であるヨークシャーオークス(G1)と、いずれもたやすく勝ち続けている。そして、これまではどのような馬場にも適応してきた。だが、シャンティイは凱旋門賞が初コースとなり、これをこなせるかという命題を背負って走ることになる。もうひとつの懸念は、シーズン終盤を迎えてなお、ゴスデン調教師がこの馬をピークの状態に保ち続けることができているかどうか、という点だ。エネイブルがピークの状態にあり、なおかつ、シャンティイの馬場をこなすことができれば、同馬の手綱をとるランフランコ・デットーリは、騎手としての新記録となるこのレース5度目の優勝を果たすことになるだろう。

フォワ賞と同じ日に行われたニエル賞(G2)で、デットーリを背にライバルたちを粉砕し、この時点で凱旋門賞ヘ向けたブックメーカー各社の前売りで2番人気に浮上したのが、クラックスマンだった。しかし、エネイブルと同じジョン・ゴスデンが管理する、この父フランケルの牡馬は、凱旋門賞を回避することになった。

イギリスには、「初めての時は失敗しても、あきらめずに挑み続けろ」という格言がある。これはまさに、“絶対に凱旋門賞を勝つ”と固く決意している日本馬にこそ、当てはまる言葉かもしれない。日本はこれまで、エルコンドルパサー(1999年)、ナカヤマフェスタ(2010年)、オルフェーヴル(2012年と2013年)が2着になっている。このうちオルフェーヴルは、池江泰寿調教師の管理馬であり、今年こそサトノダイヤモンドで「三度目の正直」で勝利を手にすることを心から欲しているはずだ。同馬は昨年の秋、日本のセントレジャーである菊花賞に勝ち、そして有馬記念も勝利し、2つのGⅠを手中にするという、素晴らしい競馬を見せてくれた。今年の秋初戦となったフォワ賞は、同馬にとって約4か月半ぶりの実戦だった。また、あれほど力の要る重馬場を走るのも、フォワ賞が初めてだった。馬場に慣れることに重きを置いていたようで、クリストフ・ルメールも、愛馬に消耗の激しい競馬をさせなかった。結果は、凱旋門賞参戦を念頭にドイツから遠征してきた、重馬場が大好きなチンギスシークレット(1着)に3馬身1/2離された4着だった。だが、10月1日にはおそらく、サトノダイヤモンドを取り巻くいくつかの要素が好転するはずだ。間違いなく大幅に状態が良化して出走してくるだろうし、距離は問題なくこなすだろうし、ライバルたちを攻略する手立ても見えていることと思う。

馬場が悪くなると、管理調教師マイケル・スタウト(イギリス)の判断で直前に回避する可能性もあるが、そうでなければサトノダイヤモンドにとって手強い相手となるのがユリシーズ(牡4歳)だ。この良血のガリレオ産駒は、エクリプスS(G1)でバーニーロイ(2着)との接戦をモノにした後、“キングジョージ”ではエネイブル(1着)に完敗を喫している(2着)。しかし、次走となったヨークの英インターナショナルS(G1)では、チャーチル(2着)、バーニーロイ(3着)といったG1勝ち馬たちを向こうに回し、印象的な勝ち方を演じている。そのレースで5着に敗れたデコレーテッドナイトは、その後、愛チャンピオンS(G1)を優勝している。またユリシーズは、昨年グッドウッドのゴードンS(G3)という、凱旋門賞と同じ距離(2400m)のレースで勝利を収めている。

昨年の凱旋門賞で、1着から3着まで独占したのが、アイルランドのエイダン・オブライエン調教師だ。昨年の勝ち馬ファウンドは現役を退き、2着馬ハイランドリールも出走を回避したが、3着馬オーダーオブセントジョージ(牡5歳)は、今年も凱旋門賞に挑むことになる。オーダーオブセントジョージは、重馬場となった前走の愛セントレジャー(G1)を大楽勝している。

前年の3着馬を擁しつつなお、エイダン・オブライエンは、凱旋門賞制覇を目指すチームの中に、ドンカスターの英セントレジャー(G1)を勝ったカプリ(牡3歳)、昨年の愛オークス馬セブンスヘブン(牝4歳)、“キングジョージ”3着のアイダホ(牡4歳)を加えてきた。

なおかつ、“バリードイル”の管理者(オブライエン)は、ここにウィンター(牝3歳)という“ジョーカー(=隠し玉)”を出走させてくる。2つのクラシック(英、愛1000ギニー)を含む4つのG1を制しているこの牝馬は、凱旋門賞の距離(2400m)をこれまで走ったことが一度もない。だが、グッドウッドを舞台としたナッソーS(G1、1980m)を制した時のレースぶりには、さらなる距離延長にも対応できそうな余裕が感じられた。

春に厩舎でEHV-1という馬ヘルペスウィルスを原因とした伝染病が発生し、管理するトップホースの多くが入厩していた、厩舎の一棟が隔離されるという、厳しい状況に追い込まれたのが、ジャン=クロード・ルジェ調教師(フランス)だ。これが原因で、シーズンを通じて悪戦苦闘することになったが、凱旋門賞には2つのクラシックを制しているブラムト(牡3歳)を出走させてくる。このブラムトにとっても、2400mの距離は未知の領域だ。同馬は、プールデッセデプーラン(仏2000ギニー、G1)、ジョッキークラブ賞(仏ダービー、G1)を、いずれもわずかな差で勝利した後、ギヨームドルナノ賞(G2)では、スタートで立ち遅れて5着に敗れている。

2008年の凱旋門賞馬ザルカヴァの息子になるザラック(牡4歳、父ドバウィ)も、母の足跡をたどるべく、凱旋門賞に挑んでくる。同馬を管理するアラン・ドゥロワイエデュプレ調教師(フランス)は、同馬のシャンティイに対するコース適性があまり高くないと感じているようで、フォワ賞(G2)は回避して、その代わりに、メゾンラフィット競馬場で“レースコース・ギャロップ”を行っている。7月初旬、ザラックはサンクルー大賞(G1)で勝利を収めているが、凱旋門賞はそれ以来、約3か月ぶりの実戦となる。

凱旋門賞7勝という調教師の最多勝記録を誇るのがアンドレ・ファーブルで、それだけに、彼の管理馬を軽んじるわけにはいけない。ザラック(2着)をはじめとした強豪を破ってガネー賞(G1)を制し、今季初戦から3連勝を飾った後、約4か月というたっぷりとした休養を取ったのが、ファーブル厩舎のクロスオブスターズ(牡4歳)だ。スムーズさを欠く競馬となり、真価を発揮できたわけではなかったのが前走のフォワ賞で、それでも2着に来て、サトノダイヤモンドには約2馬身先着して見せている。

凱旋門賞の行方を左右する大きなファクターの1つが、馬場状態だ。マチュー・ヴァンサン場長によると、前哨戦の時には「重」だったシャンティイの馬場は、その後も同じような状態にあるようだ。しかし、「凱旋門賞の週は、雨は降るものの、それほどの雨量にはならないとの予報が出ています。予報が当たれば、凱旋門賞当日の馬場は、良か、やや重になるのではないでしょうか」とヴァンサンは言う。

私自身の結論を出すときが来たようだ。凱旋門賞の1次登録がなく、追加登録して出走してくるエネイブルは、凱旋門賞における牝馬優位という趨勢を受け継ぎ、ここ7年間で6度目となる、牝馬による優勝を果たすことになると見ている。私の推奨馬は、エネイブルユリシーズサトノダイヤモンドクロスオブスターズオーダーオブセントジョージの順。ウィンターは「ジョーカー」として挙げたいと思う。

  • 文:Desmond Stoneham
  • 訳:合田直弘

Desmond Stoneham

1966年、公認会計士の資格を得る。
1972年に、インターナショナル・レーシング・ビューロー(IRB)に参加。現在もなお、ニューマーケットに本社を置き、世界各国の国際競走の運営支援を行う同社の、役員を務める。
1975年、アイリッシュ・フィールドのフランス特派員に指名され、現在に至るまで42年間にわたって、アイルランドにおける主要競馬メディアに週1回のペースで記事を書き続けている。
1977年、スポーティング・ライフのフランス特派員にも任命され、ジャン・ラッセルのペンネームで執筆。 1986年4月から2012年まで、レーシング・ポストのフランス特派員も務めた。
この他、ザ・タイムス、イリシッシュ・インデペンデント、サラブレッド・レコード、スタッド・アンド・ステーブル、クルス・エ・エルヴァージュなど、各国の競馬雑誌、競馬新聞に寄稿してきた。

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