顕彰馬 紹介

不屈の帝王 トウカイテイオー

不屈の帝王 トウカイテイオー  膨大な労力と資本をかけて淘汰改良を重ねられたサラブレッドは、その美しさと速さから、生ける芸術品とも称される。だが、人知の結晶たる彼らの仕業は、時に作り手側の想像を遥かに凌ぐことがある。仮にそれを“奇跡”と呼ぶのであれば、度々の故障を乗り越えて栄冠を掴んだトウカイテイオーの蹄跡は、まさしくそれに違いない。

 同馬の父は、我が国で初めて無敗の三冠制覇を成し遂げた皇帝シンボリルドルフ。そして母系には、トウカイテイオー誕生の物語を奇跡たらしめる1頭の駿馬の名が見える。下総御料牧場の生産馬で、昭和12年に牝馬初のダービー制覇を果たしたヒサトモ。トウカイテイオーの6代母にあたる彼女は、帝室御賞典にも優勝し、期待とともに繁殖入りしたが、戦後の馬不足の混乱期に現役復帰を余儀なくされ、競馬場で非業の死を遂げている。残した産駒は一握りにも満たなかったが、終戦の年に生んだ牝馬ブリユーリボンがかろうじて血を繋ぎ、半世紀の時を経て皇帝の遺伝子と邂逅を果たした。ともすれば途絶えていた名牝の血が、苦難に耐えて咲かせた花がトウカイテイオーであった。

平成4年★第12回ジャパンカップ(GI)  デビュー後、程なく頭角を現したトウカイテイオーは、たちまち話題の馬となった。貴公子然とした佇まいと、踊るような独特のステップも人気を博し、皐月賞・ダービーの二冠を無敗で制した際には、既にスターの風格を纏(まと)っていた。しかしダービー後の骨折判明から運命の振り子は大きく動き出す。菊花賞を棒に振り、翌春に復帰を果たすも天皇賞(春)は5着。レース後に再び骨折が見つかり、休み明けの天皇賞(秋)は7着に沈んだ。続くジャパンカップは、ヨーロッパ・オーストラリアの各年度代表馬に2頭の英国ダービー馬、オーストラリアのダービー馬と、強力な外国勢を前に、5番人気に甘んじた。ところが、並み居る強敵を相手に、トウカイテイオーは鮮やかに復活。闘志あふれる差し切りを演じ、まだ外国馬が優勢だった頃のジャパンカップで、レース史上初の父仔制覇を果たしたのだった。

 続く有馬記念で腰の筋肉を痛め、さらに3度目の骨折も発症したトウカイテイオーは、丸1年の休養の末、平成5年の有馬記念に臨んだ。364日ぶりのGI 出走は、常識の秤にかければ厳しい戦いになると思われた。しかしブランクの影響は微塵もなく、見事な末脚で4つ目のビッグタイトルを獲得。その蹄跡を伝説の域へと押し上げた。GI 7勝の父にタイトル数では及ばなかったが、引退後はトウカイポイント、ヤマニンシュクル、ストロングブラッドと3頭のGI 馬を出し、父のGI 産駒数を上回る実績を残している。

レース映像

平成4年 ジャパンカップ

HIGH

LOW

血統表

トウカイテイオー
牡 鹿毛
昭和63年4月20日生
新冠・長浜牧場生産
調教師 松元省一(栗東)
馬主 内村正則氏

シンボリルドルフ
1981 鹿
パーソロン Milesian
Paleo
スイートルナ スピードシンボリ
ダンスタイム

トウカイナチユラル
1982 鹿
ナイスダンサー Northern Dancer
Nice Princess
トウカイミドリ フアバージ
トウカイクイン

成績表

通算 12戦9勝

年月日 レース名 距離 着順 タイム 斤量 騎手
平2.12.1 中京 新馬 1800 1 1:52.9 54 安田 隆行
2.12.23 京都 シクラメンS 2000 1 2:03.8 54 安田 隆行
3.1.19 京都 若駒S 2000 1 2:01.4 55 安田 隆行
3.3.17 中山 若葉S 2000 1 2:03.6 56 安田 隆行
3.4.14 中山 皐月賞GI 2000 1 2:01.8 57 安田 隆行
3.5.26 東京 東京優駿GI 2400 1 2:25.9 57 安田 隆行
4.4.5 阪神 産經大阪杯GII 2000 1 2:06.3 58 岡部 幸雄
4.4.26 京都 天皇賞(春)GI 3200 5 3:21.7 58 岡部 幸雄
4.11.1 東京 天皇賞(秋)GI 2000 7 1:59.1 58 岡部 幸雄
4.11.29 東京 ジャパンカップGI 2400 1 2:24.6 57 岡部 幸雄
4.12.27 中山 有馬記念GI 2500 11 2:34.8 57 田原 成貴
5.12.26 中山 有馬記念GI 2500 1 2:30.9 56 田原 成貴

※レース名は当時の表記による

主な産駒

  • トウカイポイント……マイルチャンピオンシップ
  • ヤマニンシュクル……阪神ジュベナイルフィリーズ
  • ストロングブラッド……かしわ記念
  •  
  • 平成7年顕彰馬選出

2012.11.24 レーシングプログラム掲載

ページの先頭へ戻る