顕彰馬 紹介

夢見る豪脚 ウオッカ

夢見る豪脚 ウオッカ  過去78回の日本ダービーの歴史で牝馬の優勝は3度ある。昭和12年のヒサトモ、昭和18年のクリフジ、そして平成19年のウオッカである。調教技術も輸送手段も乏しく、競走馬の層も薄かった時代には、一般に早熟と言われる牝馬が大レースを勝つこともしばしばだった。しかし競馬を取り巻く環境が進歩するに連れ、牡牝の能力差はレース結果にも顕著に表れるようになっていった。牝馬限定重賞も多数設けられ、やがて牝馬のダービー出走自体が稀なものとなったのは時代の必然と言えただろう。そうしたなか、64年の時を経て成し遂げられた牝馬によるダービー制覇は、まさに驚くべき出来事であった。

 快挙の原点は彼女の故郷、カントリー牧場の歴史に辿り着く。ハードトレーニングでも知られた同場は昭和38年の創業以来、タニノハローモア、タニノムーティエ、タニノギムレットと3頭のダービー馬を送り出してきた。自家生産馬で競馬に出ることにも一種のこだわりを持っており、とりわけオーナーの谷水雄三氏は、若くして種牡馬となったタニノギムレットの仔でダービーに出ることを熱望していた。その思いが、やがて初年度産駒99頭のなかでも特に才能に溢れたタニノシスターの娘を大舞台へと向かわせることになる。栗東・角居勝彦厩舎に入厩してほどなく頭角を現したウオッカは、豪快な差し切りで阪神ジュベナイルフィリーズを制してJRA賞最優秀2歳牝馬を受賞。翌年には果敢に日本ダービーに駒を進め、史上初となる父娘制覇を成し遂げたのだった。

平成21年★第4回ヴィクトリアマイル(GI)  同い年のライバル・ダイワスカーレットとの戦いも、人々に強い印象を残した。ダイワスカーレットの卓越したスピードと粘りは、しばしばウオッカを苦しめ、桜花賞、秋華賞では敵の後塵を拝した。だが翌年の天皇賞(秋)では、内外離れた熾烈な競り合いの末にハナ差で勝利をもぎ取り、ダイワスカーレットに雪辱するとともに自身の戦績に大きなタイトルを加えた。2頭の熱戦は、当時の競馬シーンを華麗に彩る大輪の花でもあった。

 さらに競走馬として集大成を迎えた5歳時には、ヴィクトリアマイル、前年に続く安田記念連覇と勝ち鞍を増やし、秋には悲願であったジャパンカップにも勝利した。手にしたGI(JpnI を含む)は7勝を数え、シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクトに肩を並べた。その走り同様、夢に向かってひたむきに駆け抜けた競走人生は、記録にも記憶にも残るものであった。

 平成22年のドバイ遠征を最後に現役を引退したウオッカは、アイルランドで繁殖生活に入った。我が国が誇る名牝と、凱旋門賞馬シーザスターズとの間に生まれた初年度産駒は現在1歳。順調に行けば、来年、待望のデビューを迎える予定である。

レース映像

平成21年 ヴィクトリアマイル

HIGH

LOW

血統表

ウオッカ
牝 鹿毛
平成16年4月4日生
静内・カントリー牧場生産
調教師 角居勝彦(栗東)
馬主 谷水雄三氏

タニノギムレット
1999 鹿
ブライアンズタイム Roberto
Kelley's Day
タニノクリスタル クリスタルパレス
タニノシーバード

タニノシスター
1993 栗
ルション Riverman
Belle Dorine
エナジートウショウ トウシヨウボーイ
コーニストウシヨウ

成績表

通算 中央22戦10勝 海外4戦0勝

年月日 レース名 距 離 着順 タイム 斤量 騎 手
平18.10.29 京都 新馬 1600 1 1:35.0 54 鮫島 克也
11.12 京都 黄菊賞500万下 1800 2 1:49.5 54 四位 洋文
12. 3 阪神 阪神ジュベナイルフィリーズGI 1600 1 R1:33.1 54 四位 洋文
19. 2. 3 京都 エルフィンS 1600 1 1:33.7 56 四位 洋文
3. 3 阪神 チューリップ賞JpnIII 1600 1 1:33.7 54 四位 洋文
4. 8 阪神 桜花賞JpnI 1600 2 1:33.9 55 四位 洋文
5.27 東京 東京優駿JpnI 2400 1 2:24.5 55 四位 洋文
6.24 阪神 宝塚記念GI 2200 8 2:14.0 51 四位 洋文
10.14 京都 秋華賞JpnI 2000 3 1:59.3 55 四位 洋文
11.25 東京 ジャパンカップGI 2400 4 2:24.9 53 四位 洋文
12.23 中山 有馬記念GI 2500 11 2:35.7 53 四位 洋文
20. 2.23 京都 京都記念GII 2200 6 2:13.9 56 四位 洋文
3.29 UAE ドバイ・デューティーフリーG1 1777 4 55 武   豊
5.18 東京 ヴィクトリアマイルJpnI 1600 2 1:33.8 55 武   豊
6. 8 東京 安田記念GI 1600 1 1:32.7 56 岩田 康誠
10.12 東京 毎日王冠GII 1800 2 1:44.6 57 武   豊
11. 2 東京 天皇賞(秋)GI 2000 1 R1:57.2 56 武   豊
11.30 東京 ジャパンカップGI 2400 3 2:25.7 55 岩田 康誠
21. 3. 5 UAE ジェベルハッタG2 1777 5 57.5 武   豊
3.28 UAE ドバイ・デューティーフリーG1 1777 7 55 武   豊
5.17 東京 ヴィクトリアマイルGI 1600 1 1:32.4 55 武   豊
6. 7 東京 安田記念GI 1600 1 1:33.5 56 武   豊
10.11 東京 毎日王冠GII 1800 2 1:45.5 57 武   豊
11. 1 東京 天皇賞(秋)GI 2000 3 1:57.5 56 武   豊
11.29 東京 ジャパンカップGI 2400 1 2:22.4 55 C.ルメール
22. 3. 4 UAE アル・マクトゥームチャレンジR3G2 全2000 8 55 C.ルメール

※レース名は当時の表記による

平成23年顕彰馬選出

2012.5.12 レーシングプログラム掲載

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